ルール4

 俺は見慣れた部屋のベッドに横になりながらぼんやりと天井を見上げていた。気持ち的には人員不足で年度末進行に突入、命辛々業務を終わらせて漸く自宅に帰ってこれた、と言うところだろうか。学生風にいうならば勉強もせずに挑んだ全教科赤点確定の年度末試験が漸く終わった、と言ったところだろう。勉強せずとも満点が取れるような奴の気持ちはわからんが。

 兎も角、端的にいうと「もう疲れたよパトラッシュ」と言うことだ。


 そんな疲労感で直ぐに眠ってしまいたい欲求に刈られているが、中々そうすることも出来ない事態に陥っている。神経が昂ってしまっているのだろう。


 何故かと言えば、結果として俺がヤケクソで言い放った要求は意外なことにほぼ承認されたからだ。


 俺達のことを明らかに小馬鹿にし、質問に対しても真面目に答える気が無いように思えたHavokは、恐らく自分のGM的な立場についてだけはそれなりの真剣さで向き合っているのかもしれない。

 まぁ、そもそも真面目に向かい合ってくれなければHavokが仕組んだであろうゲームにすら発展しない可能性すらあるのだから、本当に真面目にやって欲しい。


 一先ずのところは真面目に仕事をしたのか(それは開発部の努力かもしれないが)、例の25時間時計のアプリにチュートリアルの項目が追加をされていた。

 流石にZIPファイルではなかった。


 ただし、その内容を確認していくと自分が渋面になっていくのがハッキリと感じられた。


 今後お知らせがあった場合にはこちらに表示されることがあります、と但し書きをされたチュートリアルの内容を幾つか抜粋することにする。


「ゲームの目標の1つは最後まで生き残ることである」

「ゲームは特に説明がない場合毎日行われる」

「ゲームは24時から25時までの一時間行われる」

「ゲームは24:00、24:30、25:00に自動的にセーブを行う」

「ゲームはある一定数の目標を達成したものが現れた時に終了する」

「プレイヤーは運営の基準によりスキルと呼ばれる能力を得ることがある」

「各プレイヤーの能力はそれぞれ運営の基準により算定される」

「スキルの習得方法は様々であるが、資質を持たない場合そのスキルを習得出来ない」

「運営はプレイヤーの行動を制限しないが、著しくゲームの内容を損なうと判断した場合にはこれを制限や修正する場合がある」

「ゲーム内でのスキルはゲーム外に持ち出すことは出来ない」

「ゲーム外で発生したことについて運営は関与を行わない」

「アプリケーションを消去した場合復旧までに時間を要する可能性があり、また一部のデータが欠損する場合があるので注意をすること」

「運営は以上の内容について変更を行うことがある」


 今上げた内容の他にまだまだ細かいものなどが列挙されていたが、何というか……。最後の一文で台無しだ。


「どう考えてもクソ運営の匂いしかしねぇな」


 絶対にサイレント修正するだろうなぁ……。

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