ゲーマーたちの墓場
@yoll
神の名は
神との邂逅
その日、俺は神と名乗る存在に出逢い、日常を失った。
その神が興じる「ゲーム」に招待をされることで。
何時もの残業を終え誰もいない家に帰った俺はもうすぐ12時を指そう時計を見上げて溜め息を吐き、何時もの通りちゃぶ台の上に置いてあるノートPCの電源を入れた後、ログインボーナスを貰うだけになってしまったスマホのアプリを起動した。
残り数分で何とかログインボーナスを貰うことが出来た俺はそのショボいログインボーナスを受け取った後、ノートPCで登録済みの動画チャンネルが更新した動画を確認しようとちゃぶ台の前に座り、ブラウザを立ち上げると同時に世界が暗転した。
次に気がつくとそこは俺の家ではなかった。
ブラウザを立ち上げたはずのノートPCは目の前から消え、いつの間にか座り込んでいたはずの俺は何故か立ち上がっていた。
パニックに陥りそうになりながら深呼吸をする事数回、少しだけ落ち着いた俺が見たのは途方もなく広く、薄暗い、床しかない空間だった。
きっとあの時、あの空間には、俺の他の四十九人が居たはずだ。俺の他に「ゲーム」に招待された「ゲーマー 」が。
ただし、お互いの顔が確認で来るような距離には誰もおらず、薄暗さのために人影がかろうじて認識できる程度に意図的に距離を取らされていた。
俺はどちらかと言えばその中でも外側に配置をされていたのだろう。前方に複数人を確認することは出来たが、後方を振り返っても人影を見つけることは出来なかった。こんな時にまで一人とか止めてくれ、と一寸泣きそうになったことを覚えている。
誰もが俺と同じように突然の出来事だったのだろう。全く現実味がないその光景に言葉を発することなく呆然としていた。
「ゲームを始めよう」
突然、合成音声のような声が頭上から聞こえた。
俺達はその声に反応し、キョロキョロと辺りを見回すと直ぐに「それ」を見つけることが出来た。
名状しがたい「それ」は少なくとも人形をしていた。頭の下には胴体があり、胴体からは二本の腕と、二本の足が人間と同じように生えていた。何故か薄暗いこの空間の中でもハッキリとその姿が認識出来てしまうことが「それ」の異常性を表していた。
その姿を端的に言い表すとすれば、顔のない全身タイツ人間だ。外見からも一寸異常性が滲み出ている気がする。
ただし、その両手足はビクビクと細かく震えるようにして動き続けており、時折思い出したかのように静止したかと思えば、突然人間の関節としては曲がってはいけない方向に捻れたりしていて、時々体全体が高速でぶれていたりもしていた。
まるで荒ぶる神のようで、見ているだけでいつの間にか心臓は動悸を起こしたように早鐘を打ち、浅い呼吸を繰り返してしまっていた。
出来の悪いB級ホラーの様な何かを見せ続けられた俺達の中からざわめきが起こり、それが小さい悲鳴に変わるまでそれほど時間はかからなかっただろう。多くはないが、女性の声も聞こえていた。
そのざわめきや悲鳴を聞いて満足をしたのか分からないが、「それ」はピタリと動くのを止め腕を組もうとしたが、右腕前腕が曲がってはいけない方向に曲がってしまったため、左腕がアイーンの出来損ないみたいになっていた。
「私はHavok。神である」
いきなりバグってんじゃねぇかよ。
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