#02 imitate - 模倣

「イミテイト?どういう能力なんだ?」

「文字通りです。調べたら分かりますよ。」


 そう言われ、スマホで”イミテイト 意味”と調べてみると。


『imitate(イミテイト)とは、”見真似する、再現する”という意味』


 と、出てくる。流石のG○○gle様だ。その下に熟語が並んでおり、『真似、模倣、複製』と書いてある。なんとなくで、かっこよさそうなのは模倣だから、”模倣”にしようかな。


「なるほど。“模倣”か。」

「…はい。意味はわかりましたか?」

「あぁ、見真似するとか、再現するという意味だと。」

「正解です、よくできました♪」


 と、言いながら卵焼きを口に運ぶリンセ。ちなみに僕の皿に乗っていた卵焼きである。なんとがめつい神だろうか。


「うーん。この卵焼きは実に美味しいですね。」

「そうか?料理本を見ながら作ってやつなんだが...。」

「ということは...もう能力の成果が出ていますね♪」

「そうなのか...?」


 他はいつも通り作っていて、卵焼きはいつもとは違う、甘めのを作ろうとして、本を見たが...。

 疑いながら、卵焼きを口に運ぶ。


「…うんま…」


 絶句。本に書いてあったプロが解説してあったのは本当だったらしい。


「ふふ。これで能力のことも、確信に変わったでしょう?」

「まぁ。そうだな。」

「他にもこの能力にはいろんなことができるので、色々してみて下さいね〜。」

「他って、なにがあるの?」

「例えば...速く走る方法とか。効率よく本を読む方法とか。」

「自分より、格上の何かをコピーできる感じか…」

「コピーじゃないです。イミテイトです。」

「ダメなの?」

「じゃあ【何かを複製する能力】はなんて言うんですか?」

「あぁ。【コピー】だな。ということは、僕の能力は本当に、方法とかを真似するだけなんだな。」

「下手なことを真似することもできます。でもあまり使わないでしょうし、認識としては合ってます。」

「下手なことって……例えば、字の汚なさとか?」

「まぁ、そんなところじゃないでしょうか。……あ、そろそろ帰る時間ですね。」

「はい?……帰るってどこに?」

そらにです。そこが私の生まれ故郷であり、暮らす場所でもありますから。」

「何のためにここに来たんだ?」

「あなたに能力のことを教えるのと、あなたにテレパシーを覚えてもらうためです。」

「え?能力も真似できるの?」

「できますよ。ただ、回数を重ねないとあまりうまくできません。真似事イミテイトですから。」

「なるほど?」


 そうして、テレパシーの方法を教えてもらった。ただ、この能力は、二人きりの会話に限定される。つまり三人以上のテレパシーは一回経験して、真似してみないと使えない。

 真似事だから、限定されるが、他の人の能力を使えるのはとてもいい。つまりは。真似事をすればするほど、自分の技が増える。なんか他人の技を盗む強キャラみたい。


「あぁ。最後に。」


 リンセがそらに帰ろうとしている寸前時にしゃべる。いや、しゃべる気はないらしい。


『君が能力者というのは周りに、広げないでね。理由はわかる?』

「世界が承認してないし、何かの組織に見つかったら、連れ去られる可能性があるから。でしょ?」


 この世界は結構狂ってる。それはもうわかりきっているのだ。だからこそ、こんな変なことが起こっても、もう何も感じなくなっている。そう、9年前のあの事故だって…。


『そう。正解。……んじゃ。バイバイ。』

「ああ。じゃあね。」


 最後のテレパシーをすまし、学校に行く準備を進める。

 新しい何かを持っているのは、どうしてか、初々しい気分になる。どうしてか、自慢したくなってしまう。

 だが。僕は約束は必ず守るので、能力のことはバラさない。


 ...が、それは直ぐに打ち砕かれてしまう。


「君さ...能力者でしょ?」


 こういうのはすぐにばれるもんなのか?おい、リンセどうなんだよ!

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