第2話ソラ&ウミ

「ウミちゃん。とりあえず、スターターキットガチャ回そ!100連無料ガチャ!」


「なあ、空音。そのちゃん呼びは何とかならないかな?」


「ロールプレイだよ!ロールプレイ!折角の双子プレイなんだから兄にぃもちゃんとソラちゃんってよんでよね」


「はあ。何?姫プレイとかすんの?」


「ん?私は今まで姫プとかはした事ないよ。付きまとわれた事はあるけど基本何かしら極めるのに忙しいかったからね。そう言うのはガン無視よ!」


「その割にさっきはノリノリで写メられてたじゃん」


「それはそれ、サービスですよサービス。別に私本人が撮られた訳じゃないし、時間掛けて作ったアバターを他の人に喜んで貰えるのはやっぱり嬉しいしね」


「ほーん。そんなもんですか」


「そんなもんだよ!だから兄にぃもちゃんと私に付き合ってソラちゃんって呼んでよね!」


「うぇえ〜」


「ブー垂れないの!もう。ほら、いいから早くガチャ引こう」


「はー。はいはい、わかったよソラちゃん」


「はい!よく出来ました!」


 今更ながら本気で辞めとけば良かったと後悔しつつも結局付き合ってしまう空音に甘い自分のこの性格に対してほとほと呆れてしまう。

 まあ、お兄ちゃんだしな。と自分に言い訳をして一緒にガチャを回す空音が楽しそうに笑っているのを見て満足した。


「ねぇねぇ、ウミちゃん何か良いの出た?」


「うん?良いのかどうかは知らんけど、〈剣術制作〉とか出た。スキルなのに自分で制作すんの?これ。後はアダマンタイトの片手剣(増殖)って。何?増殖って怖いんですけど」


「私はスキル〈千里眼〉と〈空間設置〉後は〈エレメント付与〉かな。後は塩っぱいのしか無いなぁ〜。何?ミスリルの双剣(無線)って。しかも5つもダブってるし。あ、〈異世界への片道切符〉とかある」


「ん?あーそれ僕もあるな。何だろうこれ?」


「さぁー?別サーバーにある隠しエリアとか?」


「あー。ありそう。でも先ずはこのマップを攻略からだろ?」


「さすがウミちゃん。分かってるね!」


「しかし、100連してこれはあんまりだな。リセマラしたい気分」


「駄目だからね。そんなの又最初からアバター作りしなきゃじゃない」


「ですよね〜。とりあえずスキル確認かな。お、この〈剣術制作〉モーションキャプチャーで記録した動きをオートアクションで再現出来るのか。面白そう。剣は〜と」


 アイテムボックスからアダマンタイトの片手剣(増殖)を取り出し〈剣術制作〉スキルを起動して双剣乱舞で良く使っている動きを再現して見る。


「武技八咫烏!」


 ピコーン


『武技【八咫烏】が登録されました』


「おお!マジか!武技八岐大蛇!」


 ピコーン


『武技【八岐大蛇】が登録されました』


「ふむふむ。ならば、武技八咫烏」


 しゅばばば


「キャンセルからの八岐大蛇!」


 しゅばば、しゅばば


「おお!キャンセルコンボも出来るのか!ヤバい楽しくなって来た!空音ちょっと僕、落ちる!双剣乱舞の技ちょっと全部暗記してくる!」


「程々にねぇー」


「おう!30分位で戻ってくるわ」


 ◇


「ただいま」


「おかえり。以外と早かったね」


「うん?そうかな?因みにソラちゃんはどんな感じ?」


「私?ふふん。こんなん出来る様になった」


 指で空を指し見上げさせる空音。


「ん?何?」


「〈空間設置〉解除」


 突然現れた炎を纏った大岩が空から降ってきて地上で大爆発した。


「命名なんちゃってメテオ」


「なんじゃそらーー!」


「いやー。塩っぱいスキルばっかりだと思ったら掛け合わせると中々にアルケミーだったんだよ」


「どうしてこうなった!」


「説明するとね空間設置のスキルが見えている所に設置・解除するスキルで、そこら辺の大岩にエレメント付与で炎を付与してアイテムボックスにしまいます。千里眼で上空ギリギリに設置して解除するとなんとうい事でしょう!なんちゃってメテオの出来上がりです。てな感じ?」


「発想がぶっ飛びすぎてる。大丈夫か?これ運営に目付けられない?」


「大丈夫でしょ。なんたってGenesis World創世世界なんだし、色々掛け合わせて遊ぶのが主旨のゲームなんだよ」


「あー。成程だから剣術制作とかなのね」


「そうそう」


「んじゃ、剣術制作の続きしよっと。ん?」


「どうしたのウミちゃん?」


「いや、アダマンタイトの片手剣が×2になってる」


「ふぇ?どうゆこと?」


「え?いやそのままの意味だけど。ほら」


 そうやってアイテムボックスから2本のアダマンタイトの片手剣を取り出す。


「ホントだ。なんで?」


「さあ?増殖したんじゃん」


 と冗談まじりで2本ともアイテムボックスにしまうとアダマンタイトの片手剣(増殖)×4になっていた。


「うわ。増えたしマジか」


「え?嘘」


「ホントホント」


 言って4本のアダマンタイトの片手剣(増殖)を取り出すとアイテムボックスにもアダマンタイトの片手剣(増殖)×4の表記がまだあった。


「何故に?」


 更に4本取り出しても表記は変わらなかった。


 とりあえず邪魔なので全部しまうとアダマンタイトの片手剣(増殖)は×12になっていた。


「うわ!本気で増殖してるよ此奴!」


 ちょっと面白くなって増やせるだけ増やしてみたら×99で表記はそれ以上増えなかった。

 増えなかったけどどう考えても99本以上しまった気がするのは気のせいか?


 しばらくして飽きたので本題の剣術制作のコンプリートを目指していたら


「ウミちゃん!ウミちゃん!見てみて!剣の舞!」


 そこには炎や雷など様々なエレメントを纏った10本のミスリルの剣と共に空中を舞っているソラちゃんの姿があった。


「………………なあ、ソラちゃんのそのチート臭いの本気で運営から目付けられないのか?嫌だぜ?ソラちゃんだけ垢BANされて僕1人取り残されるの」


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