第42話「クラスメイトたちの試合」

第42話


「それでは準々決勝第一試合ハルバート・アーサー対アルフォード・ダイン……始め!!」


執行部の生徒の合図で試合が始まった。


「「行くぞ!!」」


二人の声が重なり、それぞれの剣にアーサーは光を、ダインは闇を纏った。

そして、アーサーの激しく光り輝く聖剣とダインの深く濃い闇の剣が激しくぶつかり合った。アーサーは凄まじい密度の光の魔力で攻撃を放ち、ダインは闇で吸収しアーサーの攻撃を無効化していく。

しかし、しばらく拮抗していた戦いの勝敗を分けたのは肉弾戦だった。アーサーは朝に言っていた通り、レオナルド七将との訓練のほかにも経験豊富な近衛騎士団員たちとも訓練をしている。アーサーとダイン、どちらが有利かというとアーサーが有利なのは明らかだった。

超近距離戦でダインはアーサーに敗れ、剣を弾かれた。


「終わりだ!!聖者の剣ホーリー・ソード


アーサーがそう叫ぶと、聖剣はさらに光を帯び、わずかな間で金色の光の外側にもう一層の蒼い光を纏った。これは入試の頃に見せたものと似ているものだ。……だがこれは以前よりも早く展開できていて尚且つ力も増している。


「ダ、漆黒の盾ダーク・シールド!!」


ダインはアーサーの攻撃を凌ごうと、何でも飲み込む闇の空間を展開した。


「はぁっ!!!」


だがそんなダインの思いも虚しく、アーサーの高密度な光の魔力をまとった聖剣はダインの闇をも切り裂いた。


「……し、勝者はハルバート・アーサー!!」


こうして、準々決勝第一試合は終了した。凄い試合ではあったが、アーサーの方が一枚上手だったな。


***


「続いて準々決勝第二試合ライナー対カーヴス・レオン………始め!!」


同じく執行部の生徒の合図によって試合が始まった。


"ダンッ!!………ドゴーーーン!!"


試合の合図がされて早々、レオンが身体強化魔法を瞬時にかけてライナーへと突っ込んでいった。ライナーと違ってレオンはあまり遠距離攻撃の手段がない。近距離戦に持っていくというのは当然の話だ。


"…ヒューーー……"


それに対してライナーはジグザグと自分を捕らえにくいように後ろへと後退していった。


「…くっ、逃すか!!」


だが攻勢を保ちたいレオンの方はそれを良しとはしない。そこでレオンは拳に炎を纏いながら再びライナーの元へと飛び込んでいった。……しかしその時後退し続けているライナーが急に腕をクロスさせた。


「………吹っ飛びやがれ!!」


"キュイィィーーーーーン!!!ゴーーウ!!"


ライナーが不敵な笑みを浮かべた途端、クロスしていた腕を勢いよく解き放ち、飛び込んでくるレオン目掛けて竜巻を放った。


「ぐおっ!!………ウラァッ!!!」


それに対してレオンは怯むのかに思われたが、より一層の身体強化を施し、拳に纏うメラメラとした炎を激らせながら、迫り来るライナーの竜巻に踏み込んだ。


それから少しの間ライナーの竜巻とレオンとの激しい衝突が続いていたが、やはり先に動いたのは自由な身であるライナーの方であった。


「ウラァッ!!これで終わりだ!!」


"ボワッ……キュイィィーーーーン…!!!"


ライナーが先程放った竜巻を押し切るのに力をかなり割いているレオンの背後に、拳に渦巻く炎を纏いながらライナーが回り込んだ。


「…くっ、…………フッ、待ってたぜ。」

「な、なに!?」


誰がどう見ても、この状態ではライナーが勝つのが必至だろう。しかし、竜巻の相手をしていたレオンは、不敵な笑みを浮かべたのだ。そう、まるで奥義を放つタイミングを待ち続けていた狩人のように。


「終わりなのはそっちだ。これがレオナルド将軍と自主トレの末に身につけた奥義だ。……」

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天才が誰もが使えない"熱魔法"を使ってみた件 @A-1407

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