第3話 魔王城の結界
「こっちだ」
「お前、グレンヴァからも門番って呼ばれてるのか?」
「門番じゃない!モンヴァンだ!」
そんなやりとりをしつつ城の扉の前に着いた。
「さぁ、入れるもんなら入ってみろ」
扉の横に立つモンヴァンがニヤッとしながら俺を見た。
何だその言い方はと思いながらも俺は城に足を踏み入れようとしたが何か透明の壁のようなものに阻まれ前に進めない。
俺が進めないことをニヤニヤしながらモンヴァンは難なく中に入っていき、俺一人がその場に取り残される形となった。
「おい、結界魔法かー?全然中に入れないぞー!この結界壊してもいいのかー?」
たまらず俺は城に向けて大声で警告する。
別に結界くらいなんてことはないが、俺の城になる予定だから変に傷付けたくない。
「おい!聞いてるかー?」
「くっくっく。その結界は私の仲間と限られた者しか入れない」
グレンヴァの声が聞こえてきた。
俺は客人だぞと苛立ちながらも返す。
「その限られた者とやらに俺は含まれないのかー?」
「限られた者とは一部の人間だ。勇者やそれに値する者しかここを通ることはできない」
「は?お前人間と戦う気かー?」
「そうだ。知らぬ間にこの世界はつまらないものになってしまった。この魔王である私が全てを支配する世界を造り出すのだ」
どうやらこいつは俺が作った平和な世界が気にいらないようだ。
自身の考えを第三者に否定されると気分が良いものではない。
「ほう、お前の作った世界の先には何がある?俺の作った世界と何ら変わりがないはずだ」
「お前には魔王としての器がないようだな。やはり私が魔王に相応しいようだ。魔王とは平和の支配者ではなく恐怖の支配者であらねばならぬ」
「やっぱお前とは意見が合わんな。ならばこうするまでだ」
結界を壊すつもりで軽く魔法を放ったがびくともしなかった。
「やっぱこんなもんじゃ壊れないよな」
俺は魔力を拳に溜め強く握り、城の結界に向け渾身の一撃を見舞った。
ドォォォン!という凄まじい衝撃音が響き渡ったが、結界が壊れた様子はない。
「マジか、これでも壊れないのか。結構硬いなー。そういや俺の配下をどこにやった?」
気になっていたことを聞いてみた。
「結界を破れないからお仲間と攻め入る気か?残念だがこの世界にはいない。私が異世界に飛ばした」
「じゃあ大丈夫だな」
俺は配下に被害が及ばないならと思い、城ごと破壊することに決めた。
上空に飛び、様々な属性の極大魔法をこれでもかというほど城に向け何発も何発も放った。
辺りは轟音と魔法からくる魔力の霧に包まれた。
「ちょっとやりすぎたかな。異世界に飛ばされた配下を救出する為にグレンヴァを尋問したかったがしょうがない。まぁ時間かけて救い出すか」
霧が晴れ、城は消滅したかに思えたが、そこには先程までと何一つ変わりのない魔王城の姿があった。
「えっ?」
俺は生まれて初めて戸惑った。
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