君と出会うための道

柊 楓

第1話

僕には会いたい人がいる。その人と直接会ってお茶会でもできたななんてよく考える。

だがそんな事は高校生そして東京から離れたところに住んでいる僕には到底無理だと分かっているのに心のどこかで諦めきれていないのかもしれない、、、

「はぁ」

「なぁ颯汰今から自販機ジャンケンしよーぜ」

「今そんな気分じゃない、、、」

こんな多少テンション低めの俺は「柊颯汰」

そして毎日の如く自販機じゃんけんを申し込んでくるこいつは「石崎ふみや」

「ふみやお前には賭けをせずに買うという手段はないのか?」

「ないねこのハラハラドキドキ感がたまんないんだよ!」

「お前は将来カジノで財産を全て使い果たして地下で労働してそうだな」

「残念だが俺は本番には強いタイプなんだ」

「そんなこと言って今週4連敗中ですが今の感想をお聞かせください」

「まぁとりあえずやろうぜじゃんけん出さないやつの負けルールな!」

『じゃーんけーん!』

まぁ長い長いあいこのあとこの戦いを制したのは

「くそー5連敗かよ。てか颯汰じゃんけん強くね?」

「ふみやが弱いだけだろ。あっ、俺ミルクティーしか飲まないからな」

「わかってるよ、、、ほら」

渡されたのは紙パック紙パックにミルクティーは入ってなくないか?渡された紙パックを見ると、

「はっお前これ飲むヨーグルト俺飲めねーって」

俺は紙パックの飲むヨーグルトをふみやに返してもう一度買うようにう促してみる

「すまんもう金ないや、、、」

今時の男子高校生の財布事情はなかなかに厳しいのだとふみやは自慢げに鼻を鳴らす

「やっぱりお前は一度痛い目を見た方がいいぞふみや」

ふみやは飲むヨーグルトを飲みながら笑って返してくる

「痛い目ってさっき言ってた地下労働とかか?」

「まぁそれもありじゃない?」

「じゃあ鞭持つ子は美人がいいな、かわいい子とか」笑顔でふみやが言ってくる

「地下に美人はいる方がレアだろそれこそある種賭けだろ」俺は笑ってそう言い返す

「あっ、笑った」

突然ふみやがそんなことを口にした

「笑うことがそんなにおかしいか?」

漫画やアニメに出てくる笑ったことのないキャラが笑ったわけではないただいつものように笑っただけだそれだけなのにふみやは不思議そうにこちらを見てそう言ってきたからだ。

「だってお前今日一日ボーっとしてて笑ってなかったから」

そうだったのかと今更ながら自覚した。

そういえば今日は時間が経つのが早かった。

「あっ」とふみやは突然大声を上げた。するとふみやはニヤニヤしながらこちらを見てきた。

「なんなんだよ顔に何かついてるのか?」

「顔に何かついてニヤニヤするとか意味わからんだろ。というかお前が今日元気なかった理由がわかったんだよ。」

俺が多少落ち込んでいた理由がふみやにバレてしまったらしいふみやは続けてこう言った

「お前昨日のかののんの熱愛報道でショック受けてんだろ?」

「かののん」とは今人気の声優「渡辺花乃」

のファンの中での呼ばれ方である最近では歌も出しアイドル的な存在で紅白にも出場しており表舞台でもすごい人気を出している。

そんな「かののん」の熱愛報道が一部メディアの中で流れたのだ。

そして俺は「かののん」の大ファンであり正直言ってしまえば結婚したいとも思えるレベルである。そんな「かののん」の突然の熱愛報道本人は否定しているらしいが正直ショックなことに変わりはない。俺の夢の一つは「かののん」に会うことだ。

しかし俺の将来の夢は教師。「かののん」に会える確率は0に等しいだろう。でも諦めきれない自分がいる。そんなことを思っていたら不意にふみやがこんなこと言い出した

「お前さ、教師って国語科だったよな?」

「そうだけど、、、」

将来は国語科の高校教師の免許を取ろうと俺は思っていた。

そしてふみやは言った。

「なら書けばいいじゃねーか小説」

「はっ?」

一瞬ふみやの言ったことが理解できなかった

「だから書けよ、小説」

ふみやは続けて言う。

「その小説がアニメ化されれば会えるんじゃねーの?かののんに。」

正直自分には無理だと思ったそして何より

「それと国語科の教師になんの関係があるんだよ」そこがわからない。

「アニメ化されるほどの小説を書けたら国語最強!ってなると思うんだよ」

何を言ってるんだこいつは正直そう思った。

しかし同時にこうも思ったワクワクすること考えやがってと、、、

その日俺の推しに会うための無謀でなんの計画性もない小説作りが始まった。





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