平成二十九年
三月 くらまの……
【航空機】はいい。気まぐれで小さくて、たまにどうしようもないくらいあざとくて妖艶だ。奴らは人を堕落させるためにこの世界に産み落とされたのではないかというほどに愛しい。ああ、お前は今日も美しい。そう可愛がっているSH60-jの【フナダマ】である彰に手を伸ばした時だった。
「やい!!鞍利、お前また彰に貢いだな!!」
聞き慣れたDDG【こんごう】の声が響く。要件は間違いなく彰のことであろう。
「そんなのDDHに任せてよ!」
そう毒づいた所でだれも助けてくれないのがこの世の常だ。そもそも航空機の面倒を【こんごう】が見ていること自体が異常なのである。本人たちだって望んで築いた関係じゃない上にお互いにストレスになっているので、これまた救いがない。せめて1分でも1秒でも早くあの二人の柵が解けることを願っている。
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