第47話るなの来訪

「…朝か」


 俺はいつの間にか眠ってしまっていたらしく、ベッドから上体を起こした。

 ちょっとベッドで寝転がろうとスマホを見ていたらいつの間にか眠ってしまっている、俺には呪いでもかかってるのかもしれない。

 昨日はちょっと色々衝撃的なことがあったため、マユにはどうしてもと言って今日はできないと言った。

 この前毎日ログインと言われたばかりだったため、申し訳なかったけどそれは今度何かで穴埋めしよう。…プレゼントでも買うか。


「お兄ちゃん!誰か来たよー」


 部屋の外から琴葉の声が聞こえる。…誰か来た?こんな朝に?


「俺じゃなくて琴葉に用があるんじゃないのか?」


 自分で言うのは本当に苦しいけど、俺には少なくともこんな朝早くに登校を共にするような友人はいない。


「え〜?でも私の知り合いじゃないよ〜?すっごい可愛い子!」


「可愛い…?」


 もしかして、真冬か?でもそれなら琴葉が真冬だとわかるはず。つまり真冬以外の可愛い人か…やっぱり思いつかない。学校での知り合いで美人と言えばあとは花龍院ぐらいだけど、それも登校を共にするような仲ではない。


「…とりあえず出るか」


 俺は制服に着替えて、少しだけ身支度を整えてから玄関に向かった。

 玄関に着くと、俺はそのドアを開ける。


「えーっと、誰ですか…?」


 その少女は、鞄を前にして、両手でそれを持っているため自然に胸が強調されるようなポーズになっている。

 …本当に誰だこの美少女は。紫髪のツインテールで笑顔で俺の方を見ている。やっぱり俺の知り合いじゃないな。


「来ちゃ、った…❤︎」


「…え?だから、その…誰ですか?」


 やっぱり琴葉の知り合いかとも思ったけど、この人は俺を俺と認識した上で来たと言っている。…ん?


「私の、こと、忘れ、た?」


「え、いや、え!?ま、まさか…るな!?」


「う、うん…」


 う、嘘だろ…全然気づかなかった。

 るなと言われれば確かにるなだけどイメチェンにも程がある。

 まず昨日とは違う点は、目の下に綺麗にあった隈が完全に無くなってる。そう言うのを治せる方法とかがあるのかもしれないけど1日にしては治りすぎて全く気づかなかった。

 次に、昨日来ていた制服とは違い、今日は半袖ということだ。

 昨日は長袖でブレザーも上に来ていて、しかもスカートも長かった…多分冬用だったんだろうけど、今は上下とも夏用になっていて短い。

 そして何よりもこの笑顔…本当に誰なんだ。昨日までのちょっと薄暗く照れたような笑顔ではなく、完全になんというか…スクールカースト上位の人の完璧な笑顔だ。

 でも口調を聞くとやっぱりるなだなとわかる。


「え、えーっと、なんか昨日までと違うくないか?」


「あっ、き、気づい、た…?」


 逆にそれで気づかない方がおかしい。


「ひ、久しぶりに、学校、行くから、ちょっと、身支度、した」


 ちょっとってレベルじゃないだろ!


「そ、それに…マ、マトにも、見て、もらいたかった、から…」


「うっ…」


 そんな風に言われると来るものがあるな…


「どう…?」


「あー、うん、良いと思う」


「そう、かな…」


 そう言って、るなは頬を赤く染めた。…デジャブ感がある。って、え?


「が、学校…行くのか?」


「うん」


 …俺はとりあえずるなを玄関に入れ、話を聞くことにした。

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