VRMMOで付き合っている彼女が1年前に別れたヤンデレ美少女元カノだった

第31話マユの冷たい激怒

　ど、どうしよう…マユに勝手にユリとフレンドになったって言ったら怒られるか？い、いや、マユは優しいから許してくれる・・・か？

「……」

　でもマユはそう言うところだけはちょっと厳しかったりもするからなぁ…どうしよう。本当にどうしよう。

「マトくん」

「はいっ！」

　俺は背筋をピンとさせ、マユの方に恐る恐る向いた。

「なんでその女の───その女の子の名前知ってるの？確かあのクエストの時にあった子だよね？」

　そう言ってマユは詰め寄ってきた。パッとみた感じはあんまり怒ってななさそうで、いつも通りだ。

「あ、ああ、なんか前この共有スペースでたまたま会って・・・」

「会って？なんで名前なんて聞いてるの？」

　やっぱり怒ってたぁ…まあ確かに恋人が一日会わなかっただけで他の異性と名前を呼び合ってたら怒る…か。

「じ、実は、む、無理やりというかなんというか、フレンドになって…」

「…フレンド…？」

「はぁ？何その言い方、ちゃんとお互い了承済みでフレンドになったでしょ？」

「どこがだよ！」

　あれが了承済みと言うのであればユリは現実で無理やり婚約届けを出されて結婚されてもおかしくないな。

「え、待って、え…？フレンド…？」

　マユはまだ混乱しているらしい。…まあ、混乱する気持ちはわかるけどそこまで混乱するのか…？

「…マトくんは1日離れただけで簡単に浮気しちゃうんだね」

　マユは落ち込んだように言った。…落ち込む、と言うよりは落胆という表現の方が正しいかもしれない。って、そこはしっかりと訂正しておこう。

「待ってくれ、浮気なんてしてない、ただちょっとフレンドになっただけだ」

「…その発言は想像力が足りないんじゃないかな」

「え…」

　想像力も何も…事実…なんだけどな。

「じゃあ、例えば絶対にありえないけど、例えでもこんなこと言いたくないけど、マトくんにわかってもらうために言うね？」

「あ、は、はい…」

　前置きがちょっと長いと思ってしまったのは俺だけか？

「マトくんが病気でゲームできなかった1日の間に、私が他の男の子とフレンドになって、名前で呼び合っててしかもデレデレになってたらどう思う？」

「そ、それは良い気はしないけど…」

「うん、そういうこと。しかも私のマトくんへの愛は私に対するマトくんの愛よりも大きいから、その10倍ぐらいの感じで想像してみて」

　10倍…それは、まあ…想像を絶する苦しみがあるけど…

「べ、別にデレデレなんてしてない！」

「そうそう、なんでこんな奴とデレデレなんてしないといけないわけ？」

「それはそれでうるさい！」

　俺は余計なことを言うユリに思わずツッコンでしまった。

「…やっぱりデレデレしてるよ…」

　マユは落胆…から何か別のものを感じるような口ぶりでいった。…マユは怒ってるはずなのに、なんか…気持ち的に寒いな。怒ってたら普通変に冷や汗をかいたりして暑くなったりするはずなんだけど…

「っていうかさっきから何言ってんの？別に誰が誰とフレンドになろうと自由でしょ？人権って知ってる？」

　ここでユリが俺ならマユに言えないようなことを言ってみせた。

「…ねぇ」

「…なに？」

「PVPしよっか、私と」

　ここでマユからユリに対して、驚きの提案が飛び出てきた。