第26話新たなフレンド

「…ん〜♪」


 私はベッドの上でジタバタしながら上機嫌に鼻歌を歌う。


「まさかマトくん…誠くんがとうとうマユのリアルに興味を持ってくれるなんて…今頃きっとマトくんは私に彼氏がいるのかどうなのかでドギマギしてるはず…」


 このまま誠くんの頭の中を全部私で埋めちゃいたい!今頃マトくんもやもやしてるかなぁ〜、でも明日私と話せばいいとかって思ってそうだし…誠くんにメール送っちゃうしかないね!

 私はスマホを取り出してマトくんにメールを送った。


『明日ちょっと用事あるからできなくなっちゃった…ごめんね?』


 本当は誠くんより大事な用事なんてないんだけど…


『えっ、そ、そうなのか…わかった』


 早く私と話をしたそうな文面!不安がってるんだろうなぁ〜。この不安がってるのを材料にして誠くんにリアルの私にもっと踏み込んでもらって、最終的にはリアル恋人関係に復縁!これが私の理想!


『その、マユ…き、聞きたいことがあるんだけど…』


『…ん〜?な〜に?』


 本当はわかってたけど私はあえてわかってないふりをした。


『…や、やっぱりなんでもない、忘れてくれ』


 聞いてこないんだぁ…まぁ私としては今聞かれても答えないつもりだったし、いいんだけどね♪

 私はこのマトくんが私のことを考えてくれているのが確定している夢見心地な状況で、夢の世界に落ちていった。


ーマトPartー

「今日はマユがいないのか…」


 どうしたものか。勝手にクエストに行ったりしたらマユは怒るだろうしなあ…薬草集めるとかそういう危険じゃないクエストならいいのか…?


「ねえ」


 後ろから声をかけられた。あの赤髪ポニテの女の子だった。


「な、何?」


 ここでも会うなんて…珍しいこともあるもんだな。


「なんでフレンド申請許可しないの」


「フレンド申請…?」


 ああ、そういえばこの前来てた気がするな、名前は非公開で───


「え!?君があのフレンド申請の相手!?」


「そうだけど」


「な、なんで!?」


 この人と会ったのはあのクエストの時だけだったしフレンド申請が送られてきたのはそのクエストの時にあった時よりも前だ。フレンド申請してきた意味がわからない。


「それより、なんでフレンド申請許可しないの?」


 1番大事なところをそれよりで端折られた・・・


「だって、特に知り合いでもないし文章にも別にならなくてもいいって書いてたし…」


「はぁ!?そんなの嘘に決まってるでしょ!?ならなくてもいいならわざわざフレンド申請なんて送らないって」


 今自分で自分の矛盾点を勝手に指摘してなかったか…?


「とにかくっ!フレンド申請欄出して!」


「あ、ああ…」


 俺は言われるがままにフレンド申請欄を出した。


「あぁ、ちょっ…!」


 彼女は俺の指を握って操作して、無理やりフレンド申請を承諾させた。


「はい、これで私たちフレンドね?」


「あ、は、はい…」


 …なんだ?この強引な感じ。どこかで覚えがあるような気がする…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る