ハイヒール【2】
俺はまさに叫んだ。
「急いで降りろ」
俺とまさは無我夢中で降りた。頭は真っ白だったため何も考えられなかった。俺たちの足音以外は音が聞こえない。俺はそのことを確認しても本気で降りた。何があるか分からないからだ。
「急いで車に乗って」俺たちは非常口を出るとともに元来た道を通って車に向かった。
映画とかだったらここで鍵が開かなかったり、エンジンがかからなかったりして襲われるが、俺の車にはそんな呪いはかかっていなかった。扉も開いたし、エンジンも普通にかかった。
ここまで来れば勝ちと俺は確信した。まさもやっと安堵の表情をみせていた。車を発進させて廃病院を後にした。
「まさは見たか?」
「何をだよ!もしかして何かいたのか」
「あぁ、長い髪をしていて音からハイヒールを履いていたんだよ」
「マジか、もうこんなことろ行かなんどこうぜ」まさが提案した。俺もその意見には大賛成だ。もうこんな思いをしたくないからだ。そんなことを話していたら突然、
ガン!何かが当たったような音がした。時計は深夜2時を回っていて真っ暗だったため何かにぶつかったのだろうと思った。前にも似たようなことがあったためそこまで驚きはしなかった。
俺は車から降りて何にぶつかったのか調べることにした。「なんでこんな時にぶつかるんだよ」俺はぶつぶつと愚痴を言いながら調べた。
ボンネットには確かにぶつかった形跡がある。
だが検討がつかないのだ。普通なら大きく凹むと思っていたが、今回は小さな凹みが4つあっただけだったのだ。
俺は人にぶつかったわけではなくて安心したが、原因が何なのか分からない。なので俺は車周辺を探してみた。何もない。車の周りには何もなかったのだ。気のせいにしたかったが、凹みがあるので気のせいにするには無理があった。でも何も無いので仕方なく車に戻ろうとした時、俺は少し遠くに何か落ちているものを見つけてしまった。俺はぶつかった物の正体だと思い近づいた。
「暗くて見づらい」俺はそう思い、スマホのライトをつけた。真っ赤なハイヒールが落ちていた。俺は頭によぎってしまった。廃病院にいた女性はハイヒールを履いていた。俺はその事を思い出した瞬間、全身に鳥肌が立った。俺はまた走って車に戻った。だが、今回は2つ変なことが起きた。まず、まさが青ざめた顔で車から出てきたのだ。俺はすぐに「まさ!車に乗れ」と叫んだ。そういうとまさは俺の方に向いた。そして言って来た。
「誘ってごめんよ」まさはそう言い残したら腹部がどんどんと裂かれていった。そして地面に倒れた。俺は何がどうなっているのか分からなかった。とりあえず車に乗ろうとした。
でももう1つの変なことが起きた。
俺の車の助っ席に、俺とまさしか乗っていなかった車に、あの廃病院で見た髪の長い女が乗っていたのだ。
【続く】
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