本当にあったら怖い話

キョロスケ

ハイヒール

俺は真司、田舎に住む大学生だ。俺が住んでいる地域はすごく人口が少なく、数千人程度だ。なので公共の施設が完璧に機能してるわけじゃない。道路は全然整備されてないし、学校のだって錆びている。病院だってすごく小さい。

だが、施設が機能しなくて良かったこともある。何十年も前にサービスが終わった病院や学校が壊させずにそのまま残っている事だ。

何がいいかわかる人は分かるだろう。廃病院などに訪れることができるのだ。これは大きな利点だと俺、いや友達もそう思う。

「今日の講義終わったら廃病院行こうぜ」早速友達のまさから誘いがきた。これに断るなんて言語道断だ。

「行っちゃいますか」俺は乗り気だった。





「うわぁ〜相変わらずボロいなぁ〜」辺りは真っ暗に包まれ、人気がないところがより怖さを増していた。車を病院の門に止めてスマホのライトをつけた。1歩。また1歩と足を進める。

病院に近づくにつれて雰囲気はどんどん変わっていき、圧が強くなっていった。だが、俺たちはその圧にも屈しなかった。

「ボロボロだな」

「この病院、人がたくさん死んでるらしいよ。医師が殺してたんだってさ」まさが脅かしてくる。入口に着いた。

「入るか」俺は一言だけ発した。俺は怖い系は得意だったのでこの病院に入れることに心の奥では胸を躍らせていた。隣にいるまさは少し震えていた。

「どこ行く?」俺がまさに聞いた。

俺たちは病院に入ったがどこに行けばいいのか分からない。どこに行けばおバケにあえるのか下調べでもすれば良かったと2人で後悔した。

「よし、ここに行こう」俺たちは病院に飾られていた案内板でF4に行くことにした。【4】という数字が不吉だからでるのでは?という単純な理由で決めた。

非常階段が1番早く目に止まったため階段で上がっていくことにした。階段は螺旋階段で緑の非常口の明かりが点滅しながら光っていた。普通ならなんで明かりがついているのか不思議に思うだろうが俺たちはそんなことは気にしていなかった。

4階は6つくらい部屋があった。2人で手分けをして部屋を調べたがどの部屋も扉には鍵がかかっており、部屋の中に入ることはできなかった。

「なぁ、どうする?」まさが聞いてきた。扉が開かないには中に入ることもできず、何があるのか調べることができない。気が張っていて疲れたのて他の階を調べようとは思わなかった。俺たちは落胆し、帰ることにした。正確には俺だけが落胆してたのかもしれないが。

俺は帰るために非常口の扉に手をかけた。

キィー。扉が開くと同時に音がなった。その音は階段をかけるように鳴り響いた。

階段を慎重に下り始めた。なんせこの病院はボロいのだからいつ崩れてもおかしくないからだ。F2という看板が見えた時突然まさが変なことを言い出した。

「なぁ、変な音しないか?」そう言われたので階段を下りるのをやめて、静かにした。

コツッ、コツッ。確かに音がする。ハイヒールを履いている音だ。

コツッ、コツッ

また音がする。俺はさっきまでオバケがでなくて落ち込んでたのに今の俺は震えていた。

コツ、コツ、コツ、コツ

音はどんどん強く、速くなってくる。

「おい、誰かが向かってきてんじゃないのかよ」まさが強い口調で言ってきた。その時の俺はパニックになっていた。それもそうだ。だって誰もいないはずなのに音がするのだから。

俺は手すりに手を置き勇気をだして恐る恐る覗き込んだ。

1階の階段には誰もいない。俺は少し安心した。

1階には誰もいなかったからだ。俺は見上げた。

真上には階段があるのだから見ずらかった。

なので身を乗り上げて見てみた。4階辺りの階段には、いないな。俺はたまたま変な音がしたのだろうと自分を納得させた。だが、その時。

俺は見てしまった。いや、見えてしまったのだろう。3階。つまり俺たちがいる2階の真上の階に長髪の女性がいた事に。


【続く】

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