採血


清潔のリノリウムの床の上

並べられた長椅子

患者たちは行儀良く座る

(僕はただ眺めている)


リハビリテーション室から機械音

大荷物の彼はたぶん患者の家族

凡そ 入院の準備だろう

(呻き声は口で発するものじゃない)


採血をしますね と言う看護婦

何本かの小さな試験管

注射器は一本だけだった

(遠のく景色は灰色のまま)


針の突端には斜めの穴

深く深く空っぽの黒

抑えられた右腕に チクッとしますよ

(吸い上げられていく たしかに僕の

一部だったもの)

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