ブチギレ勇者と学年一かわいい幼馴染~ドキドキッ! 宇宙人のダンジョン☆攻略大作戦!!~

ネコ飼いたい丸

第1話 ワレワレハ、宇宙人ダ


「ワレワレハ、宇宙人ダ。コノ世界ニハ、刺激ト希望ガ足リナイ」


 20XX年4月某日、日本中の高校生が同じ夢を見た。

 全身銀色タイツの宇宙人が夢の中に現れてそう言った。


 日本の高校生活はこの日から大きく変わることになる。


 ◇◆◇◆◇◆◇


「やべっ、遅刻する! 深夜までネトゲするんじゃなかった」


 高校2年生の風間かざま 隼人はやとは高校へ全力疾走していた。

 もちろん、口に食パンをくわえて。


「そういえば昨日、変な夢をみたような……」


 昨日の夢を思いだすのに気をとられる。ハヤトが曲がり角を曲がったとき――


 ドーーーン


「わっ!」


「キャッ!」


 ハヤトは誰かとぶつかり、前のめりに倒れこんだ。


「いてて……すみません。だいじょうぶで……」


 途中で言葉を失うハヤト。

 感じたのだ。その右手に――

 未知なる柔らかさを。ムニュムニュ――

 全てを癒すぬくもりを。ムニュムニュ――


 その感触はまるで、近くて遠い存在、男子のロマン、『触っちゃダメ、絶対』な神聖領域――女性の胸のようであった。

 ってかむしろ、ハヤトはブラウスの上から女性の胸をおもいっきりわしづかみにしていた。


「すっ、すみませんっ!! わざとじゃな……」


 ハヤトはすぐに体を起こして女性から離れようとする。

 しかし、女性の顔を見て言葉を失う。

 とびきりの美少女がハヤトの瞳に映っていた。


 幼い顔立ちに銀色に輝くショートヘア。

 小柄な体にもかかわらずブラウスの膨らみはしっかり自己主張している。

 ハヤトと同じ高校の制服だ。


 「春野はるの ほのか……」


 ハヤトは美少女をマジマジと見つめる。


「ハヤト先輩! キミはハヤト先輩じゃないかい! 会いたかったよっ!!」


 ホノカはハヤトに飛びつく。


「ちょ……やめっ!」


 ホノカの柔らかいムニュムニュがハヤトの胸に押し付けられる。


(や、やわらかい……これが神聖領域っ!!)


 ハヤトはホノカのムニュムニュに意識を集中する。


「ハヤト先輩、ボクはキミに会いたくて都立ブチギレ高校に入学したんだ! 子どものころからキミはボクをいつも守ってくれた。キミは僕のヒーローだよっ!」


 ホノカは尊敬の入り混じった目で上目遣いにハヤトを見つめる。


「そ、そんなの、たまたまだろ……お前は俺の幼なじみで、俺はお前よりひとつ年上だからだろ」


「そんなことない。そんなことないよ。キミはいつだってボクを守ってくれた。二年前だってキミはボクを助けてくれたじゃないか」


 ホノカは首を振り、言葉を続ける。


「あのとき、味方が誰もいない教室でボクはひとり歯を食いしばっていた。くやしかった……。突然、キミが教室に乗り込んできて『ふざけんなぁ!! ホノカはそんな奴じゃねぇぇぇ!!!』って叫んだんだ。ボクはほんとうに嬉しかった。ボクを信じてくれる人がいる。ボクの味方がいる。ボクはキミの言葉に救われたんだ」


 ハヤトの胸にホノカは顔を埋める。


「いや、それは俺がキレやすいコミュ障なだけだ。キレて思ったことをすぐにいっちまう悪いくせだ。お陰でクラスでも友達が少ない陰キャラだよ」


「そんなことない! キミはボクのヒーローだよ。キミは今までずっとボクの味方でいてくれた。今度はボクの番なんだ。キミがキミ自身を信じれないときだって、ボクはキミを信じる。だってボクは……キミの絶対的味方なんだから」


 ホノカは花が咲いたような笑顔を浮かべる。無防備で一切の疑念もない晴れやかな笑顔。


「えっ……あっ、おう……」


 ハヤトは混乱して頭がグルグルしてくる。


 自分を心の底から信頼してくる美少女に抱きつかれてる。

 公衆の面前でっ!!

 ハヤトの胸にはホノカの心地よいムニュムニュが押し付けられている。


「まぁ、やだ……朝からこんな場所で――」


 通りすがりのおばさんがハヤトたちをチラチラ見てくる。


 美少女、胸の感触、周囲の目、公然猥褻――


 ハヤトはますます混乱して頭に血が上る。


 ぷちっ――


 ハヤトの中でなにかがキレる音がした。


「そんなん知るかぁぁぁー! お前の勝手だろぉーー!!」


 ハヤトは突然叫び、ホノカを置いて全速力で走り去った――



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