第134話「いちゃつきも束の間」

「「…………」」


 他の部屋を回るということで、俺とシャーロットさんは自分たちの部屋に取り残されていた。

 というか、ここにいろと言われたのだ。

 家の中を巡るのが邪魔というよりも、ここでいちゃついていろという意図みたいだが――こんなお膳立てをされると、さすがに気まずい。


 シャーロットさんも、前の部屋にいたほどは乱れていないし。


「えっと……広い部屋でよかったね?」


 二人きりの空間を意識しながら、俺は隣に座るシャーロットさんの顔を見る。

 ちなみに、俺たちはベッドに座っていた。

 椅子はあったのだけど、シャーロットさんがチラチラとベッドを見ていたので、そっちに座ったのだ。


「そうですね……」


 シャーロットさんは顔を赤くして俯きながら、人差し指をモジモジとさせている。

 前の部屋のようにグイグイくる彼女もかわいかったけれど、こういうおしとやかでいじらしい彼女もかわいい。

 ただ、やっぱり会話が続かないので、間が持たない。


「そういえば、引っ越し荷物は執事さんたちが持ってきてくれるって言ってたけど、いつ届くんだろ?」

「どうでしょう……お母さんたちの様子ですと、まだまだ届かないような気もしますが……」


 前住んでいたところからは距離があまり離れていない。

 だから、持ってくるならすぐだろう。

 だけど、ソフィアさんと花音さんは俺たちをこの部屋に残す際、ニコニコとしていた。

 あれは、俺たちにいちゃついておけ、と思っていた笑顔だ。


 となると、荷物を持ってきた際邪魔になってしまうので、執事さんたちを意図的に遅らせそうな気がする。


「…………」


 どうしようか考えていると、シャーロットさんが甘えたそうにチラチラとこちらを見始めた。

 我慢させれば、我慢できなくなった際に自分からグイグイときだすだろうけど、さすがに可哀想だ。


「おいで」


 俺はシャーロットさんの腰に手を回す。

 すると、シャーロットさんが照れ笑いのような笑みを浮かべながら、俺の膝に座ってきた。

 向かいあうように座ってきているので、至近距離でお互いの目があう。


 優しく頭を撫でてあげると、シャーロットさんは目を閉じた。


 ――この状況で何を求められているのかわからないほど、俺も鈍感ではない。


 だから、シャーロットさんに口を近付けると――。


『おにいちゃん、どこぉおおおおお!』


 ドアが、勢いよく開いた。

 そして部屋に飛び込んできたのは、涙目のエマちゃんだった。


 ……なるほど、こうきたか。




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【あとがき】


読んで頂き、ありがとうございます(#^^#)


数年ぶりに新作ハイファンタジーの連載を開始しました…!


『勇者パーティーでお荷物扱いされる俺、異世界転移の力を手に入れたので転移前から夢だった動画配信者になった件~元いた世界で異世界配信をしたら大バズリして人気者になりました~』


ざまぁを含む今作ですが、

ラブコメ要素も含んでいてかわいいヒロインも登場しますので、

是非是非読んで頂けますと幸いです(≧◇≦)


URLは以下になります!


https://kakuyomu.jp/works/16817330663210498951

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