第7話 第四層で狩りまくれ

「いや、驚いた。君の力には」


 未来を予知する能力、【第六感シックスセンス】の使い手である古海との戦いで、俺は勝利することができた。


 負けると思ったタイミングで、後ろにすばやく下がれる能力を手に入れることができた。


 一応、ステータスを見ておくか。


 ──────────────────

 氏名 赤城竜司 

 LV 75

 HP:350

 MP:300

 ユニークスキル:【早熟アーリーブルーム】 

 他のプレイヤーに比べ、より早くスキルを入手し、より早くレベルを上げることができる。

 スキル:【人竜融合】、【バックステップ(風)】

 称号:竜騎士、ミノタウロス殺し、ゴブリン殺し

 ──────────────────


 今回の戦いでは、「【バックステップ(風)】」というスキルが得られた。あそこまで後ろに下がれたのは、風属性の力と判断してよいだろう。


「こうしているうちに、ゴブリンも魔石を残して消失しているかもしれないな……」


 そういえば、地面を覆っていたはずのゴブリンの姿がみえない。

 古海と戦っていたときには、ゴブリンのいないところを避けてやっていたが、すっかり死体が消えている。


「魔石を残して消失?」

「ああ。不思議なもんだが、ダンジョンで死んだモンスターは、死んでから時間が経つと消失してしまう。すると、魔石だけを残すんだ。そいつを支部に持っていくと、少しばかりカネになる。だいたいの探索師は、そうやって食っている。殺し方がうまいとすぐに消失するぞ 」


 目を凝らしてみると、地面には緑色の水晶がいくつか落ちていた。

 拾ってみたところ、合計で八個あった。【人竜融合】を解いた俺は、魔石を荷物の中にしまった。


「これは君と私で折半だ。ここのゴブリンの魔石だと…… だいたい一個400円相当といったところだろう」

「安い……」

「探索師で食っていくっていうのは、そう簡単なことじゃない。毎日死線をくぐり抜けながら、長時間いなくちゃならない。それも、混み合う時間だと儲けは減る。地道にやっていくしか、ないんだよ。ここに来てるってことは、学校に通いながらというのは不可能だと考えた方がいい」


 ここを一度出たら、学校は自主退学することになるだろう。

 アルバイトをしながら学校に通うこともできただろうが、俺はダンジョンに潜ると決めたんだ。

 できるだけ長く、ダンジョンに潜りたい。


「さて、さらに奥に進んでいこう。戦わなくては、出口にすらたどりつけないからね」

「はい」

「ここからは私の方が詳しいだろうから、ついてくるといい」


 いくつもの別れ道がある中で、古海は迷わず曲がっていく。


「君に、私の能力がモンスターに通用するところを見てほしいな」


 何本か道を曲がったところで、またゴブリンが現れた。

 今度は小型のものだった。すぐにこちらの存在に気づかれ、敵としてみなされる。


 レベルは、さきほどと同じ30くらいだ。

 神竜に騎乗して斬ることは厳しいだろうから、【人竜融合】がいいとみた。

 敵の数は十数体。


「私が先に半分斬る。残りは君が斬ればいい。まずは、私の能力を」


 古海はただ剣を構えるだけで、何も動こうとしない。後ろで見ていて安心できない。


「ゴブゥゥゥー!」


 攻められてきても、古海は動かない。

 しかも、よく見ると目をつむっている。


「……みえた!」


 ゴブリンが三体同時に襲いかかってくるのだが。

 あたかもゴブリンたちが短剣に吸い込まれるように斬られていく。

 同じように襲いかかってくる敵も、斬られるためだけに近づいているようにすらみえた。


 残りは【人竜融合】した俺が斬った。

 戦利品は魔石二個。


 ──────────────────

 レベルが5上がりました 75→80

 ──────────────────

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る