第4話 戦闘! ゴブリン
「モンスターを倒せた……」
神竜が俺の体を装甲のように覆ってから、一気にステータスが向上した。
そのおかげか、Lv30のミノタウロスを一閃することができた。
『これで、汝に竜の力は渡った。ゆえに、お主の戦い方はこれからふたつに限定された。ひとつ、【人竜融合】で私を装備して戦う方法。もうひとつは、私に騎乗し、私に技を使わせる方法』
「前者は変身ヒーロー、後者はよくイメージされる竜騎士ということで認識は正しいか、神竜」
『変身ヒーローというのはわからないが、だいたいあっているはずだ。注意してほしいのは、汝はこの瞬間から自身の力だけでスキルを発動することはできなくなったということ。竜人になってスキルと使うか、私を通してスキルを発動するかしかない』
「それって、俺にとって不利なんじゃねえのか」
『最強の力を代償なしに手に入れることができるはずなかろう。いっておくが、汝の手からスキルを使おうと、私からスキルを使おうと大差なかろう。失うものが少ないだけ感謝するといい』
俺が【ダンジョン】をぶっ壊す力を求めて契約した。
たとえ、生身の手からスキルを使えなくとも、強くなれるなら問題ない。
「で、俺はこれからどうすればいいと」
『レベルを上げ、実力をつけることだ。すでにモンスター除けの術式は解かれている。このボス部屋を出て、第四層を攻略するといい。まだ朝。あまり人もいないことだろう』
竜の装甲を身につけたまま、俺はボス部屋を後にした。そして、第四層へと続く階段を降りていく。
見た限りだと、第四層はこれまでと構造はあまり変わっていないようだった。
強いていえば、横幅と長く、天井が高くなったくらいだろう。
ここにたどりつくまで、モンスターが出てくる予兆は何もなかった。
そんな状況がぶち壊されたのは、第四層へ到達してすぐのことだった。
「なんだ、これは……」
こちらに背を向けているのは、二十数体ほどのゴブリンの群れ。幸いにも、まだこちらには気づいていない。とはいえ、突っ込まれると相当危険だ。
まずは偵察だ。ゴブリンたちのステータスを確認しておく。
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ゴブリン Lv 24
ゴブリン(強)Lv37
ゴブリンLv31
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Lv30が平均といったところか。Lv50代の俺からすれば、きっとミノタウロスのように一撃でいけるだろう。
しかし、この量を相手に突っ込むのは無謀というものだ。
「なあ、俺には【人竜融合】以外の、もうひとつの戦い方があるんだったよな」
『左様。まずはこの装甲を解除しよう』
また黒い霧がかかり、体がふっと軽くなる。冒険者の服に戻っていた。
代わりに、目の前には全長三メートルほどの黒竜が地に足をつけていた。
ふつうに乗れそうな感じだな。ワイバーンとよぶのがいいだろうか。
『私に乗りながら、斬るとよい。それこそ、竜騎士らしき戦い方だと思わぬか?』
「厨二心くすぐるねぇ、神竜さんよ」
『そんな馴れ馴れしく呼ばれるほど、汝とは親しくなった覚えはないが』
「兄さんの竜だろう? そりゃ兄さんと同じくらい親しみがわくもんだ」
『そういうものなのか……やはり、兄弟は似ているな』
「何か言ったか?」
『独り言だ』
俺は神竜に跨り、命令を下す。
「さあ、直進だ!」
神竜が翼をはためかせると、ゴブリンたちはようやく俺たちの存在を把握してくれた。
敵意剥き出しの、野蛮な目つきでこちらを黙ってみつめる。
「「「「ゴブゥ……」」」
「お前たちは、俺のレベル上げ要員になってもらうぜ」
そういって、黒剣の先端をゴブリンたちに見せつけてやった。
「ゴブ! ゴブゥゥー!」
醜い走り方で、こちらに駆け寄る。
「いけぇ!」
低空飛行で、神竜は突き進む。ふつうに乗っていれば、ゴブリンには当たらない。
ただ、体を地面と平行になるように傾けて飛べば、話が変わる。
剣は固定するだけ。
ゴブリンの首を、刃が捕らえた。勝手にゴブリンの首が次々と飛んでいく。
うまく当たらず、突き飛ばされたゴブリンはあとで斬ればいい。往復して首を跳ね飛ばせば、残りは地上戦でやればいい。
突き飛ばされた分弱っているので、案外楽に殺せた。
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ゴブリン25体撃破
レベルが20上がりました 55→75
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どうも、ボスじゃないとレベルは上がりにくいらしいな。
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