紅の成り上がり

雪桜

第1話 少年

一人の少年がいた。

髪はぼさぼさで小汚く、着物は着ているかも分からないくらいボロボロ。

そして、身の丈に合わない「赤い刀」をその手に持っていた。

少年のいる場所は山の中、身寄りもなく、独りぼっちだった。

少年は生きていくために何でもした。山菜を集め、魚を捕まえ、罠を張って獣も捕まえた。

少年のいる山は人も来る。山賊だ。時には宝を置きに、また、死体を捨てに来ることもあった。

しかし、少年はそんなことはどうでもよかった。自分が生きていくのに関係がなかったからだ。山賊が山に何を置こうが、何を捨てようが、少年には関係ない。

だが山賊は違う。誰もいないはずの山の中に人がいれば、無視するわけにはいかない。

当然、山賊たちは少年を襲うだろう。

でも少年は知っている。自分が見つかれば、山賊たちは自分を襲いに来ることを。

となれば、少年は逃げるか隠れるかなどして自分の身を守るだろう。

しかし、少年はそんなことをしてもその場しのぎにしかならないとわかっていた。

ならばどうする?黙って殺されるのか?正直な話、少年にとってはそれが「最良の選択」だろう。なぜなら、少年は身寄りのない独りぼっち。ただ意味もなく過酷な世界を生きるのなら死んで楽になったほうが幸せだろう。

だが、少年は不幸にも強かった。いや、強くなってしまったのだ。

誰にも頼ることのできない中、生きていくためには自分がやるしかなかった。

そんな過酷な環境が、少年を強くしてしまったのだ。

だから・・・・・襲ってくる山賊を殺すのだ。

自分が生きていくために。

ただ意味もなく。







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