第32話 あきかぜ

つぎのひ


ぼくは学校へいくのがいやだった・・・。


ぜったい、きのうのことをあれこれいわれる・・・。


きょうしつにはいると


はやくきていたみんなが、ぼくをみる。



さとちゃんがいた!


しゅんすけと はなしをしていていた。


ぼくをみつけると すぐにやってきてさっそく


「きのう、じゅんくんとキスしたんだって?」っていってきた。


おしゃべりしゅんすけめ・・・!


ぼくがにらんだら、しゅんすけはにやっとわらってむこうへいった。



「キスしたの?」


ってさとちゃんがきくから


「ぶつかったんだよ。」って


きのうの 体いくのじかんの はなしをした。


それから


じゅんくんが 


さとちゃんとはなしをしたいみたいだっていった。


”おーちゃん”じゃなくてぼくみたいに”さとちゃん”ってよびたいっていってたこともつたえた。


さいごに


さとちゃんがいなかったから


ゆっくりいっしょにはしる人がいなかったから・・・って


うらみをこめてつけたした。


さとちゃんはなんにもいわないで


ぼくがひたすらはなすのをきいていた。



つぎにきょうしつにはいってきた男子が


ぼくをみて


「わー、男どうしでキスしたやつだ~」っていった。


ぼくはまたそいつをにらむ。


「おはよう、え、なに?」ってまーくんもやってきた。


ぼくはまたはじめからきのうのはなしをする。


まーくんが


「へー、そうなんだ、ぶつかったんだ、でもキスしたことはしたんでしょ?」っていうから


それはそうなんだけど・・・・ってかえすことばがなかった。



ろうかをこう学年の女子がとおる。


ぼくをちらりとみてそのままいった。


きっととなりのクラスのじゅんくんのところにいくんだろう・・。



じゅんくんはどうしてるだろう。


ぼくはじゅんくんがきになって


さとちゃんとまーくんととなりのクラスにいってみた。



じゅんくんはすごいことになっていた。



じゅんくんのまわりを


女子がとりかこんでいた。


クラスの女子もほかのクラスの女子もこう学年の女子もいた。



ぼくたちがろうかからきょうしつをのぞいていたのを


みつけたじゅんくんは


「あ、かず!」


っていって女子のむれからぬけだして


ぼくたちのほうへやってきた。


こう学年の女子が「きゃー」っていう。



「きのうのことで たいへんなことになった。」


ってじゅんくんがいう。


ぼくたちがキスをしたことで 女子があせったらしい。


てがみをかいてきたり


いっしょにあそぼうといってきたり


うちにこないかとさそわれたりして


おおさわぎだ。


でもじゅんくんは


そんなにいやそうじゃない・・・。



「じゅんくんってへいきなの?」


きくと、にっこりわらって


「なれてるから」っていった。


「オレ、ほいくえんのとき、クラスの女子ぜんいんから、


バレンタインのチョコもらったことがあるから。」


・・・じゅんくん、もてるんだね。



そうきくと


さらに きのうのことがくやまれる・・・。


もう学校中の女子をてきにまわしたみたいじゃん・・・・。


は~っとためいきがでる。


「おがたくん。えがすごくうまいんだね。ろうかにはってあるえをみて


どんなひとかな~っておもってた。」


じゅんくんがさとちゃんをみていった。



”さとちゃん”でも”おーちゃん”でもなくて”おがたくん”で


なんだかちょっとあんしんした。



じゅんくんは


「じゃあね」っていってきょうしつにもどった。


女子がまたじゅんくんのつくえをかこむ。


「ぼくたちももどろう・・・」っていったら


まーくんが


「かずくんのこと、”かず”っていうんだね。なんかなれなれしい。」


っていった。



もう


かずでもかずくんでもどっちでもいいや。


さとちゃんがずっとだまったままなのが


なんだかきになるから。

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