第27話 むしとり

「大きなカブトムシだったよね。」


「ほんとにいたよね。」


「あのこう校すごいね。」


「いってすぐみつかったから、きっともっとなんびきもいるんだよ。」


「たいちにいちゃんもやさしかったよね。」


「ジュースおごってくれたしね。」


オレとまーくんは


大きくてつやつやしたかっこいいカブトムシをみつけることができて


うれしくて もりあがった。


かってもらったコーヒーぎゅうにゅうをのみながら


はなしがとまらない。



だけどかずくんは


だまってしずかにジュースをのんでいる。


ストローをくわえたままなんにもいわないでのんでいる。



「かずくん、ジュースおいしい?」


ってきいてみた。


かずくんののんでるのは「バナナセーキ」


「あまくて、おいしいよ。」ってかずくんがわらっていったから


オレはすこしあんしんして、


「ひとくちちょうだい。」っていった。


「いいよ。」


オレはむしあみとコーヒーぎゅうにゅうで


りょうてがふさがってるから


かずくんがオレのくちにバナナセーキのストローをちかづけた。



すこしだけ すった。



そういえば


ちょうって花のみつをすうとき口がストローみたいになるよな・・・。



バナナセーキはすごくあまかった。



「おいしいでしょ?」ってかずくんがきくから


「あまいね。」ってこたえた。


「ぼくにもちょうだい。」


ってまーくんもいった。


「いいけど、かわりにまーくんのもわけて。」


「えー、ぼく もう ぜんぶのんじゃったよ!」


「じゃあ、あげないよ~。」


「えー、ちょうだいよ~」



かずくんがやっとげんきになった。



けっきょくまーくんも バナナセーキをわけてもらった。


「あまっ!」ってまーくんもいった。


オレは


「オレのコーヒーぎゅうにゅうのむ?」


ってかずくんにきいた。


かずくんは「うんっ」って大きなこえでいったから


さっきかずくんがしてくれたみたいに、


かずくんのくちにコーヒーぎゅうにゅうのストローをいれた。


かずくんが「おいしいね。」ってわらった。


まーくんににもコーヒーぎゅうにゅうをわけてあげたら


おんなじように


「おいしいね。」っていった。



たいちにいちゃんが


ミンミンゼミをみて


かずくんみたい・・・っていった。


あまいバナナセーキをのむかずくんは


やっぱりこんちゅうなのかな?とおもった。


もしかずくんがこんちゅうだったら


つかまえてむしかごにいれておくなんてかわいそうだ。


だって、セミは


むしかごにいれておくと


つぎの日にはしんじゃうんだ・・・。


やっぱり


つかまえたセミをにがしてよかったな。


セミやカブトをもってかえれなかったけど


きょうはとてもたのしかった。



かずくんは


「もう、むしとりはやだ・・・!」


っていった。


まーくんが


「きょう、たのしくなかった?」ってきいたら


かずくんがすこしかんがえて


「たのしかったよ。たいちにいちゃんからジュースかってもらったから。」ってにっこりわらっていったから、


オレは「よかった」とおもってかずくんとかたをくみたかったけど


むしとりあみとコーヒーぎゅうにゅうをもってるから


かたはくめない。


3人でならんでかえりみちをあるいた。



オレはひそかに


また3人であのこう校にいきたいとおもった。


かずくんがむしがきらいだから


こんどはむしとりじゃなくて


あそびにいきたいとおもった。


あの森をたんけんするのは おもしろそうだ。



そして かずくんのまえに むしがでてきたら


オレがつかまえて


しげみのむこうにそっとにがす。


オレは


かずくんからもかんしゃされて


むしからもかんしゃされるかもしれない。

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