第24話 むしとり

校もんにさくはない。


中にそーっとはいる。


だれもいない。


なつやすみだもん。


オレたちは校しゃからはなれて


木がたくさんあるほうへあるいていった。



せみのなきごえがすごい。


アブラゼミとミンミンゼミだ。


オレはうれしくなった。


木にセミがとまっているのをみつけたから


さっそくあみでとった。ミンミンゼミだ。


「さとちゃん、きょうはカブトムシつかまえにきたんでしょ!」


かずくんがいう。


オレはエヘッとわらってセミをむしかごにいれた。



かずくんは


セミがきらい。


オレやまーくんがセミをつかまえるのを


うしろにさがってみている。


そしてかごのなかにセミがはいったのをたしかめてから


ようやくちかくにきて しずかにみている。


かずくんは


むしとりあみでむしをつかまえたことなんて一回もないんだ。


いつもセミのぬけがらばっかりあつめている。



でも


きょうのかずくんはとってもたのしそう。


「かずくん、カブトすきなの?」


ってきいてみたら、


「ぼく、ほんもののカブトみたことないんだよね。だからみてみたいの!」ってたのしそうにいった。


「それに、この森もいいよね。ぜったいまいごにならないもん。」


たしかに木のかげからいつもこう校の校しゃがみえる。


こわがりのかずくんらしくてちょっとおかしかった。



「カブトってどんなところにいるのかな?」


「クヌギの木がすきなんだって。」


「クヌギの木ってどれ。」


「わかんないよね。」


そういいながらあるいていくとかずくんが


「ここらへんにいそうじゃない。」


っていってすこしきょろきょろしたら


「ほら、あれじゃない!」


かずくんがおおきなこえをだした。


木にちゃ色の大きなむしがとまっていた。



カブトムシだ!



オレがいそいでつかまえにいこうとすると


かずくんがオレのうでをぎゅーってひっぱって


オレにぴったりくっついてきた。


「ほんとにカブトムシ?ばくだんじゃない?」


そのことばにまーくんもちょっとびくっとした。


でも、あれはぜっていカブトムシだ。


「カブトだよ、にげないようにそーといっててみよう。」


オレとまーくんが


かずくんとかたをくんでしずかにあるきはじめたとき


うしろのほうがガサガサいって


「おおおお!」っていう大きなこえがきこえてきた。



びっくりしておれたちも


「わーーーー」って大きなこえがでた。


かずくんがびくっととびはねたのがわかった。

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