犬系女子とツンデレ女子

昼の猫

第1話     出会い


満開の桜が風に吹かれ、ちらちらと落ちてくる。


 入学式まで、桜が咲いていてよかった。


学校の正門を抜けて、校舎を見上げた。


『桜ヶ丘高校』


これがこの学校の名前だ。


進学校でも、落ちこぼれの学校でもない、ちょうど中間くらいの学校だ。


今年、私――霞夜かすみや美湖みことは、晴れてこの学校に入学することができた。


ただ、私には一つ欠点がある。


それは、人と一緒にいるのが苦手なことだ。


いつも一人でいて、友達は小中、ずっといない。


一回、これではいけないと思い、友達といつも一緒にいるようにしたら、ストレスで吐いてしまった。


それ以来、友達は作らないようにしている。


つまり、高校はボッチになる。


けれど、自分はそれを貫くつもりだ。



そう心の中で決心していると、1年B組、自分のクラスについた。



ガララッ


扉が古いせいか、大きな音に驚く。


しかし、それ以上に驚いたのは、自分の顔から30センチもないような場所に、女子が立っていたことだ。


茶色でくせっ毛の髪に、ピンク色のピンどめがよく映えている。

八重歯なこともあって、まさに犬系女子、という感じだ。



「あの、なんですか?」


このままだと教室に入れないので、聞いてみる。


「ねぇねぇ、私犬埼いぬさき小春こはるっていう名前なんだけど、名前なんて言うの?」


突然でビビりながらも


「霞夜美湖っていいます。」


と答える。


「そーなんだ、じゃ、友達になろー!」


「⁉…よ、よろしく。」


その場の勢いで、握手をしてしまった。


犬系女子、犬埼小春はマイペースらしい。






入学式、ボッチになりたい霞夜美湖に犬系女子の友達ができた。


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