夏の夜、クッションは置かない派

春嵐

start & epilogue. 彼女の視点01

 夏の夜。

 お気に入りのソファに座って、ぼうっとしてる。

 暑さも。風鈴の音や、陽炎かげろうさえも。なぜか、懐かしく感じてしまう。なぜだろう

 夏だから。夏だからだな。

 心がしめつけられて、どこか、何かを探しに行きたくなるような。何か、大事なものを忘れてしまったような。そんな感覚。

 夏の、幻想のような、気分。


「外にでも行こっかな」


 暑いけど。ひとりで、部屋で涼んでいたほうが快適だけど。

 それでも。

 外に。

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