この村で

勝利だギューちゃん

第1話

空を見る。

青い空が広がっている。


青天井。


雨よりも、晴れの方が気持ちがいい。


都会では見れない。

田舎ならではの、光景。


「さてと、行くか・・・」

僕は目的地に向かって歩き出した。


ここは、空気がいい。

緑も綺麗だ。

海もある。

とても、綺麗で透き通っている。


都会の汚い海とは違う。


ここで生活している人が羨ましい。


「そう思う?」

後ろから声がした。

懐かしい声が・・・


幼馴染の女の子・・・


でも、振り向かずに答えた。


「ああ。都会に出てここの良さがわかったよ」

「でも、ここに住んでいると不便だよ。生活には適していない」

「確かに便利ではない。でも・・・」

「でも?」


ここに住んでいる人からしたら、もっと便利に開拓してほしいのだろう。

しかし、都会に住んでみて、ここの良さがわかった。


「隣の花は赤いだね」

後ろから彼女が言う。

「田舎だから、隣の芝生は青いのほうがいいと思う」


昔の人はいいことを言う。


「で、君はもう、こっちに戻るの?東京に帰るの?」

彼女が尋ねる。


僕は背を向けたまま答える。


「こっちに戻るよ」

「でも、不便だよ。何もないし」

「いや。ここには、都会には・・・いや、ここにしかないものがある」

「それは何?」


僕は初めて振り向き、懐かしい顔を見る。

昔と変わらない、優しい笑顔だ。


僕の仕事は、作家だ。

とても、厳しい世界。


でも、締め切りさえ守れば、どこにいてもいい。

そう、この村でも・・・



「約束通り、帰ってきたよ。ここにしかない、君という存在を手放さないために」


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この村で 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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