2019年6月

赤口に、首長竜を射た

 おそらく明け方だと思うのだが、奇妙な夢を見た。まあ、いつだって夢とは奇妙なものだが、今回はとりわけ奇妙であった。起きた後にも記憶が鮮明に残っているということがその証しと云える。


 夢の中の俺は、どこかの劇場(都内の名画座?)にいて、スクリーンに映し出される「空前の大作」の予告篇(本篇ではなかったと思う)を眺めているのだった。その大作とは、幻の特撮映画『ネッシー』である。

 同映画は、日英合作の超大作として企画されたもの(1976年頃の話)だが、結局実現には至らなかった。

 女王陛下の「鶴の一声」で制作中止が決まったそうだが、まさかそれだけではあるまい。複数の問題が絡み合った結果だと俺は考えている。映画作りほど大変なものはない。合作となれば尚更である。


 夢の中の『ネッシー』は『ジョーズ』の拡大版みたいなパニック巨篇に仕上げられていた。水没都市を舞台にして、生き残った人類が腹を空かせたネッシーに次から次へと食われるというもの。あまり売れそうもない映画だが、夢特有の異様な迫真性を帯びていた。

 終末SFの要素が組み込まれているのは、俺自身の好みが反映されているからであろう。当然である。だって、俺の夢なのだから……。

 俺の手元に夢占いの本がある。でも、さすがに「ネッシーの夢」の解説は載っていないだろうなあ。〔16日〕

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