死神 14
階段の周りはコンクリートで覆われていた。が、あるところからゴツゴツとした岩肌に変わった。ほんの一瞬の出来事だった。まるで海岸にある洞窟みたいな感じ。振り返ると、真後ろもずーっとゴツゴツとした岩肌だった。今降りてきたコンクリート製の階段は完全に消えていたのだ。
下には無数のろうそくが輝いていた。ここは黄泉の国か? さすが死神、雑居ビルの地下室と黄泉の国をつなげやがったよ。
オレと死神は地下の平らなところに到達した。見るとろうそくの長さは大小バラバラだった。中にはオレの背丈と同じくらいのろうそくもあったし、もう少しで燃え尽きそうなろうそくもあった。ろうそくは太さもバラバラで、直径20cmくらいのものもあれば、3cmくらいのもあった。オレは直感でわかった。このろうそく1本1本は、人の命そのものなんだと。
死神はここでようやく口を開いた。
「このろうそく、なんだかわかるよね?」
「人の命だろ?」
死神はニヤっと笑った。ああ、じれったいなあ。オレは思わず大きな声を出した。
「おい、オレのろうそくはどれだよ?」
死神は再びニコっとして、そしてしゃがんだ。ヤツの目の前にはもう燃え尽きそうなろうそくがあった。
「これよ。おやおや、想像以上に燃えてるわねぇ。燃え尽きるまであと3分ってところかな?」
さ、3分って・・・ しかし、こいつ、心の底では笑ってやがるな。あ~ むかつく!
「おい、代わりのろうそくはないのかよ?」
と、死神はいつの間にか1本のろうそくを握っており、それをオレに見せた。長さ60cm、太さ10cmくらいのろうそくだ。
「新品をあげることはできないけど、これくらいならいいかな」
「よこせ!」
オレはそのろうそくを奪い取るように受け取ると、燃え尽きそうになってるろうそくの火をそれに移した。と同時に古いろうそくは燃え尽きた。ふーっ、助かったあ!
「私ねぇ、やっぱ人間に格下げだって。さっき連絡があったんだ。あと3時間もすれば、私はもう人間よ」
死神がぽつりと言った。オレは自分の命が助かった安心感で、その言葉にはあまり興味を持てなかった。が、続く言葉、いや、脅迫には反応してしまった。
「人間になったらあなたに憑りついてやるからね! 100年憑りついてやる! あなたの一生をぐちゃぐちゃにしてやるから!」
こりゃあ完全に怒ってるな。オレは何か言い返そうと思ったが、いい言葉がみつからなかった。
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