死神 13
かわいい死神はなぜかここで声色を変えてきた。
「それより、あなた、自分が今何やったのか、わかってんの? 私、言ったよね。枕元に死神が立ってたらおしまいだって!」
「それがなんだってゆーんだよ? おまえこそウソ言ったんじゃないのか? 死神が枕元に立ってても、呪文を唱えたら、死神は消えちまったじゃないか!」
「それがいけないのよ! あなたが呪文を唱えたせいで、あなたの命とあの子の命が入れ替わったの!」
ええっ? てことは・・・
「いい、あなたの命はあと30分よ、あと30分もすれば、あなたはきれいさっぱり死んじゃうの!」
オレはその死神の言葉を聞いてクラっときた。オレの命があと30分だなんて、ほ、ほんとうかよ・・・
「オ、オレ、まだ死にたくないよ。どうすりゃいいんだよ・・・」
「知らないわよ。全部自業自得じゃん!
あなた、勘違いしてるみたいだけど、ノートは一回触れただけで一生死神を見ることができたし、魔法の呪文も一生使えたし! 別にノートなんかなくったって、全部できたの、もう!」
そ、そんな秘密の設定があったなんて・・・
「な、なんだよ、それ? ふざけんなよ! あんたがあのとき説明しなかったからいけないんだろ! なんとかしろよ!」
「説明しようにも、あなた、あのとき、私を地球の裏側へ飛ばしちゃったじゃん!」
そうだ。あのときオレは、呪文を唱えてこいつを地球の裏側に飛ばしちまったんだ・・・
な、なんとかしないと・・・ そうだ、ノートだ! オレはカバンからノートを取り出し、かわいい死神に突き付けた。
「これ、返すからさぁ、オレの命、助けてくれよ!」
「バカ! 今更何やったって遅いわよ!」
な、なんだとーっ! オレは両手でノートを引きちぎるポーズを見せてやった。
「じゃ、このノート、破ってやるよ!」
「ちょ、ちよっと待って!」
さすがにこの行為は死神を慌てさせたようだ。
「わかったわ。来て」
死神は振り返ると、歩き始めた。オレはそのあとを追いかけることにした。
歩いた距離は300メートルくらいか。かわいい死神は
死神は裏木戸のようなアルミのドアを開けた。中には地下に伸びる階段があった。死神は振り返り、オレの眼を見た。一緒に階段を降りろと言ってるようだ。死神は階段を降り、オレは彼女に続いた。
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