死神 2
万引きGメンが高校生のカバンに手を伸ばした。その瞬間、異変が起きた。もう1人の高校生が万引きGメンの身体に当身を喰らわしたのだ。いや、こりゃあ当身じゃないぞ。いったい何をやったんだ?・・・
と、思った瞬間、万引きGメンの身体がゆっくりと崩れ落ちた。高校生の手には血だらけのナイフ。なんと高校生は万引きGメンの土手っ腹をナイフで刺したのだ。
「きゃーっ!」
万引きGメンの相棒の女が、思いっきり悲鳴を上げた。こりゃあもう修羅場だ。とんでもないものを目撃しちまったぞ!
「来い!」
万引きGメンを刺した高校生は、万引きした高校生の袖を握って駆け出した。あたりがざわついた。オレはというと、なんの意味もなくへたれこんでいた。情けないぞ、オレ! 何もできないのかよ、オレ・・・
オレはなんとか立ち上がると、やつらとは別の方向に駆け出した。別に逃げる必要はないのだが、なぜか一生懸命駆けていたのだ。
路地を曲がると、オレは立ち止まった。ひどく荒い息だ。オレは持ってたカバンを自分の脚に立て掛けると、左掌を左ひざに、右掌を右ひざに載せ、荒い息を整えた。なぜか・・・ なぜか無性に悔しかった。
ふと足下を見ると、何やらドス黒いノートが落ちていた。B5くらいの大きさのノート。こ、これはもしや、デ×××ト? もしデ×××トなら、さっきの男子高校生たちの名前を書き込んでやる! そうでもしないとオレの気持ちが晴れないのだ!
オレは意を決すると、そのノートに手をかけた。
「ノート、返して!」
その瞬間、ふと声が聞こえてきた。そういやデ×××トを拾うと、その本来の持ち主の死神が見えるようになるんだっけ。これはきっと死神の声だ!
オレは顔を上げた。そこに死神がいるはずだ! が、そこにいたのは9歳くらいのかわいい女の子だった。で、でも、何か変だ。真っ黒いセパレートの水着のような衣装、いや、ボンデージと言った方がいいかな?
ともかく幼女とは思えないくらい、きわどいファッションなのだ。
幼い女の子は言葉を続けた。
「ノート、返してよ!」
オレは反射的に質問した。
「君は?」
「死神よ!」
「ええ・・・」
こ、こいつが死神? 今はこんな小さな女の子が死神やってんのかよ? うそだろ・・・
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