八章

レジ袋は要りますか?

 近所のスーパーで買い物をした。買ったものは500mlのペットボトルと、手のひら大のチョコを一つだ。

 妙に混んでいるレジに並び、会計を行う。隣のレジに四十代くらいの女性がレジの会計を行っていて、その後ろには男性の高齢者が並んでいる。自分の後ろには若い男性が会計を待っていた。

 買った品物も少ないので、会計はすぐに終わる。若い女性の店員がこちらを見て「レジ袋は要りますか?」と聞いてきた。そもそもこの購買量で袋など必要ないだろう。何も考えずマニュアル応対しているのだろうか?

 そもそも、会計が終わってから聞くのはどういうことなのか……。

 不要だと答えると、後ろに並んでいた若い男が、じろりとこちらに視線を向け無言のプレッシャーをかけてくる。

「レジ袋は必要ですか?」若い女性の店員は再度聞いてきた。

 再度、不要と答えると、次は隣のレジで会計していた女性がじろりとこちらをにらんできた。

 違和感がある。みなレジ袋を買っているようだ。何か買わないといけないルールでもあるのだろうか? 

 こちらを回りの客が注目しているように思える。

「レジ袋は必要ですか?」店員が再度聞いてきた。

 威圧感を感じる。レジ袋が必要だと答えると、周りからの威圧感が消えたように思えた。

 渡されたレシートにはレジ袋の代金はない。

 店員に尋ねると、この店はレジ袋は無料だということだった。 たしか一定条件で無料で配れるレジ袋もあったはずだ。これがそうなのだろうか?

 となると、周りからの無言のプレッシャーは一体何だったのだろう?

 気のせいだと思うことにした。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る