部屋に住む妖精

 休日、出かけようと思ったが机に置いた鍵がなくなっていた。探し回るが見つけることができず、結局鍵屋を呼びアパートの鍵を付け替えることになってしまった。大体一万円くらいの出費となる。休日はそれでつぶれてしまい、疲れてベッドで眠ろうとしたら、枕元に金貨が転がっていた。見たこともない金貨で、見覚えもない。どこかで買ったのかもしれないと思い、机の中に入れておいた。

 次の日には、机に置いていたスマホがなくなっていた。朝は忙しいので慌てて出かけて仕事帰りにスマホを新しく購入した。中古を買ったとはいえ痛い出費だ。

 眠りにつく前に枕元をみるとやはり金貨が置いてある。何者かが机に置いたものをくすねて代金として払っているかもしれない。

 金貨を調べると、結構値が張るもので、鍵の取り換え料金とスマホ代を払ってもさらにおつりが出た。

 小金が稼げると思い、わざと机に新しい鍵やらスマホを置いたが紛失しない。どうやら盗人はいなくなったのかと思っていると、寝苦しいある日、夢を見た。

 手のひらくらいの生き物が、数匹、赤く血が滴る白く小さなものを掲げて騒いでいる夢だ。胸騒ぎがする。

 口中に痛みを感じ飛び起きると早朝だった。枕元を見ると数十枚の金貨があった。口元からだらだらと真っ赤な血が滴り落ちパジャマを真っ赤に染める。慌てて洗面台に行き鏡を見ると口の中は血みどろで、歯が抜け去っていた。抜け落ちている歯の数はちょうど枕元で見つけた金貨の数と一緒だった。

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