三章

その女を殺したい

 白い喉を鋭いナイフで掻っ切った。血がほとばしり路地裏に噴き出す。

殺した女の恨みが噴き出してくる。これだけ愛していたというのに他の男とくっつくとは、はらわたが煮えくり返る。

だが、これでいい。あとは一緒に死ねば、永遠にこの女を自分のものに……。

とここまで考えたとき、路地裏に誰かがあらわれた。

細い体。女だ。こんなところに来るとは運が悪い。

月灯りに女の顔が照らされる。それは、今殺した女だった。

愛情は今や反転し、憎たらしい顔となっていた。間違いようがない。

まだ温かい死体を投げ捨てると、路地裏に現れた女にとびかかる。

狙いたがわず、女の心臓をナイフが貫いた。

悲鳴を上げる間もなく、女は死体となる。

これで、ようやくと考えて、自分の喉に刃を当てた。

冷たい感触が肌に伝わってくる。

路地裏の入り口に人の気配がした。

嫌な予感がして、路地裏を飛び出した。

歩道にでる。

あの女だ。同じ顔が何人もいる。

叫び声を上げられ、こちらに駆け寄ってくる同じ顔の女。

こちらが悲鳴を上げたいのを我慢して、数人の女に切りつけた。

しかし、取り押さえらえてしまった。

女の力だが、多勢に無勢だ。

しかし、一瞬の隙に自分の胸にナイフを突き刺した。

何人か殺したのだ。これで誰かとはいっしょになれるに違いない。

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