幼馴染のブルー

李都

第1話 恋からスタートするはずだった

2020年2月。バレンタインデーが近づく頃、小学校からの付き合いだった幼なじみに渡すチョコレートを使っていた。


お菓子を作るのは得意ではなく、むしろ苦手な方だ。なにしろ、チョコレートの湯煎をしようとして、電子レンジを爆発させたくらい。


それがなぜ、手作りに挑戦しようとしたのか。それは今世一代決心、告白をしようと考えたからである。手作りのお菓子に想いを乗せて伝えようと練習していたのだ。


だがしかし、世間ではやっていた感染病、他人事ではなくなっている。気づけば休校、彼に会える場所がなくなってしまった。手作りのお菓子なんてこのご時世もってのほかだろう。


あんなに練習したのにと落ち込んだ。でもそれ以上に、決心した告白の機会を奪われたことがショックだった。


幼馴染なら仲がいいと思われがちだが、案外特別な中ではない。普通に高校で出会った友人との関係となんら変わりはない。幼馴染だからどうのこうのなんて、あれは少女漫画の世界だけだ。現実は思っている以上にドライだ。


そんなこんなで休校してから数ヶ月。気づけば学年も変わり、知らぬうちにクラスも変わっていた。文系理系の関係か、彼とはまた同じクラスだったが、会えるわけではない。結局2月に学校で会って以来、再会したのは休校が開けた6月だった。

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