第8話
甘えるシャインに対してご主人様はかなり甘やかしていたように思う。
よく頭を撫でていたし。おねだりも聞いてあげていた気がする。
シャインもまた特別に近い扱いをされていたので、ちょっと私に対するべったりが収まらないかなあとか思っていたわけだけど。
『ご主人様はシャインのものなんだからね!』
それでも結局シャインもまた嫉妬をぶつけてきた。これみよがしにふふん、とキスマークを見せつけられても、ねえ。
私とご主人様には肉体関係が無いから正直困る。
黙っているとシャインはぷりぷりして去っていったけれどその日は彼女の虫の居所が悪かったのか何回も何回も絡んできた。
もう面倒で面倒で、この日ほどご主人様の帰宅を待ち望んだことは無い。シャインの襲撃を避けるように私は玄関でご主人様を待つことにした。
シャインは食事の準備もあるし万が一でも悪いタイミングでご主人様と鉢合わせをすることを避けてか、玄関で私に嫌味を行ってくることは無いから。
『真珠!?』
畳の上で、気分的に嫌だから靴を脱いで座って待っていると帰ってきたご主人様はすぐに飛んできた。
『どうした?何か問題あったのかい』
横にしゃがんだご主人様に頭を撫でられる。ご主人様は本当に心配そうな顔をしてオロオロしていたけれど、これでシャインの嫉妬から逃げられるのかと思ったらほっとした。
スっと立って、スカートの汚れを手で払い靴を履いていつもみたいにご主人様の手をとると。
『ーーーっ!』
何故かご主人様は悶えてから抱きついてきた。わしゃわしゃと髪の毛を激しく掻き回される。
『寂しかったんだね真珠。明日は休みだからずっと一緒に居ようね』
え、ソレはノーサンキューなのですが。
嫌がる間もなく、私はご機嫌なご主人様に連行された。
『ねえご主人様。私もご主人様の隣で食べたいです』
『ごめんねシャイン。君はそこだよ』
もう嫌だ。ご主人様が帰ってきてようやく嫉妬から開放されると思ったのにシャインは取り繕うことなくご主人様に甘えて、それが叶えられないとなると不貞腐れだした。
美味しくご飯を食べられる空気では無い。
でもご主人様はそんな空気もなんのその。笑顔で食事を差し出してくる。私が嫌な顔をしてもお構い無しに食事を突っ込んでくる。
もう、全部が嫌だった。
『真珠?』
『え、真珠様良いの!』
ご主人様の膝から降りて、シャインの元へ行き。戸惑うシャインを連れてご主人様に押し付けると私はそのまま食堂を出た。
『真珠!?』
ご主人様のことを無視して部屋に戻る。
シャインがあんなに望んでいるのだから、特別ならもっとシャインを構ってあげればいいのに。
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