僕らの冬は残酷だった。
赤坂 葵
夏
20××年某月。
太陽は眩しく輝き、辺り一面を焦がしていた。
そんな中、まだまだ小さな体の子どもたちは、大きな食べ物を運んでいた。
自分たちより大きい物も運ぶ。自分の三倍以上もある物も。
彼は一つずつ運んでは、また探しに出かけることを繰り返していた。
「安藤さんたちは何を忙しそうに運んでいるんだい?」
子どもたちの長男、安藤に向かって、彼と同じ時期に産まれた霧切は言った。
「食べ物を集めているんだ」
「どうしてそんなに沢山の食べ物を集めているんだい?」
「だって、冬が来たら困るからさ。今のうちに集めておかなければなって」
「真面目だな。そんなのやめて、一緒に遊ばない?」
霧切は笑ったかと思ったら、傍に置いてあったヴァイオリンを拾って弾き始めた。
それを見た安藤は残念そうな表情をすると、再び食べ物を運び始めようとした。
「ごめんね。もっと聴いていたかったけど、働かなければいけないから行くね。霧切さんも遊んでないで、今のうちに集めておいた方がいいよ」
安藤はそう言い残すと、霧切の元を去った。
「こんな楽しい夏に、働いてばかりだと勿体ないよ。」
霧切は毎日、何もせずに遊んで暮らした。
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