第89話 主人と従魔との強化訓練

フリュウ達と決闘をして翌日の事だった

ーー俺はまた訓練所に来ていた


今度は割り込み者が入らないように魔力の障壁でも作っておいた


それが【魔力切断】と【同化】なのだ


【魔力切断】はその名の通り自身から出る魔力を外部に漏らさない物だ。また【同化】は辺りに溶け込み周りから姿を見えなくすることが出来る


これにより以前みたいにフリュウ達やその他の生徒が割り込んでくる心配はないだろう


(空間を作ったのはいいものの……一体何をするか)


悩んでいるとある事を思いつき実行に移す。


〘魔法分身〙


以前とは違い今度は1体だけ俺の分身を出す

実に便利な魔法なのだ……命令を下せばきちんと従ってくれるし時には街の子供達の遊び相手にも適任できる


(まぁ……何だかんだで色んなことしてるな)


とはいえ【魔法分身】は一人一人が戦闘面では戦力が低くあまり期待が出来ない


「戦力は低くても仮にも俺の分身だ……少しはやれるだろうしな」


辺り一面には【絶対障壁】を張り巡らし壊さないようにする


万が一って場合もある……備えあれば憂いなしだ


ーーそのまま一直線に分身に目がけて拳を放つ

だがそれはあっさりと受け止められてしまった


そのまま上へと投げ飛ばされ分身が追い打ちを仕掛けてくるが俺はそう簡単に倒される訳には行かない


投げ飛ばされたと同時に俺は【重力】を発動させ分身を近づけさせないようにする


(流石俺の分身だ……重力を掛けられても縮地を使って逃げ出すとは)


分身はそれから縮地を使いながら辺りを移動しまくり俺に攻撃するチャンスを待つ


(右……前……後ろ……右……左……後ろ……一体どこから来る)


遂に堪忍袋が切れたのか【縮地】を止めた


(魔力反応が消えた……四方八方には居ない、、なら考えることは1つ)


俺は上に向けて第1式を繰り出すと分身は燃え尽き魔力へと戻ってしまったのだった


(いい感じの訓練にはなるけど……なにかが物足りないんだよなぁ)


ザァベストをここに呼ぶか?いやまだあいつはきちんと訓練してないからこんなハードル高いやつをやらすと魔力に影響が出るかもだし


(あっ……そっか!よし)


【人影】から2匹の従魔を呼び出し訓練相手にすることに決めた


「さてと……2人とも今日は俺の訓練相手になって欲しいんだ」


「えぇ……主の訓練相手か?儂ら死んじゃうぞ?」


コンマラスは少し怯えた声で訴えてくるがその一方でベクトロンはと言うと何故か乗り気だった


「主人と戦える!我感激!」


「ベクトロン嬉しいのはわかるが少し落ち着け」


よっぽど嬉しいのか【竜の伊吹】を問答無用で辺りに出す


絶対障壁が無ければ壁に穴が空いてたかもしれないのだ



「とまぁそういうわけで……ルールは簡単俺に一撃与えられたらお前たちの勝利で俺が2人を拘束したら勝利ってことで」


コンマラスとベクトロンは分かったのか少し頷き俺との距離を少し置く


「では行くぞ!主」


「あぁ!こい!」


コンマラスがいきなり俺に近づいてくると火属性魔法【爆炎バーン】を放つと爆発した際に起こった煙が俺の視界を奪う


爆炎は目の前にある範囲を爆発させる魔法


つまり俺の一方手前を爆発させ視界を完全に奪ったのだろう


それと同時にベクトロンが上空から【竜の伊吹】を放つ


(甘いな!2人とも、、まだ聴覚があるんだよ!)


〘絶守〙


上に目がけて盾を張りなんとかベクトロンの技を防ぐ

続けコンマラスが一直線に【王者の爪】で攻撃してくる


(……っ!?あっぶね……油断したらダメだな)


当たる直前で後ろに【縮地】を使いギリギリ躱す


「主……流石にそれは避けられでしまうか」


「いや……危なかったぜ?惜しかったな」


とはいえコンマラスは何とかなるが上空を飛んでいるベクトロンは邪魔だな仕方ない……強引に行くか


手をクロスにし勢いよくベクトロンに向けて風を発生させる


物凄い風が襲い体制を崩す


〘捕縛〙


「なっ!?我が捕まるなんて」


「さてと……ベクトロンお前は退出だ」


上空に飛んでいるベクトロンを捕まえ地面に降ろすと新しく考えた魔法


退影たいえい


絶対命令と人影を組み合わせた魔法……それが【退影】だ


従魔に限るこの技は必ず命令されると人影に戻させるのだ


「まずは1匹だな」


〘王者の牙〙


歯を立てて噛み付いてくるが【絶守】を使い守る


コンマラスも引かないのか俺の魔法を壊そうとしてくる


(でも……魔力がまだまだある俺にとったら壊れるのなんてまだまだ)


【王者の牙】の魔法を切れると同時に俺は魔法を切替え風属性魔法を使う


〘風圧〙


「ぐは……っ!?」


後ろに押し出させるコンマラス


「もうそろそろ終わりしようか……コンマラス」


「あぁ……主よ分かった」


すると見た事のある魔法を唱え始めた


「我呼びに応じ応えよ…疾風が欠けるは旋風…業火に燃えるは猛火…2つの理を背いて合わさりその者に撃たれしいまここに応じよ!」


〘飈〙


(なるほど……最後の最後でこれを出してきたか)


なら仕方ない……その期待に俺も答えるとしようか


イメージは元前世でも有名な鬼にしあとは威圧や殺気などの魔力付与を付け加えれば完成だ


想弧そうこ


コンマラスは発動していた魔法陣を消し魔法も消えていく

それもそのはずあいつには俺に付いている鬼が見えているはずだ


それも威圧や殺気などが常に出ている凶悪な存在


そのような類の魔法は発動者の魔力に比例するのだ……つまり俺の魔力はコンマラスの数十万倍としたらその分の威圧や殺気があいつに襲う


怯えた様子でコンマラスは少しずつ身体を小さくする


「ま、参りました……主よ」


「うん……それが聞けてよかったよ」


戦意喪失したコンマラスを一旦【人影】に戻し絶対障壁を消した


(前よりかは強くなっているけど……これでリノアは救えるのだろうか)


俺は内心不安だった。


コンマラスやベクトロンは強いがそれでもまだまだ上には上がいる


ーーそれにまだ魔王や第四天使達がいるのだ


いつアイツらが襲ってくるかも分からない……不安が心を襲う


(そういえば昔第14天使を消滅させたはずだ……ならあいつらは必ず殺意を持っているはずだ)


まだ俺が幼き頃の時、第14天使を俺とコンマラスで消滅させた

しかし奴は天使の最下位であり14から上は奴より強い


(主……今は考えずに強くなることだけに集中しないか?)


(聞こえてたのか……まぁでも確かにそうだな)


コンマラスの言う通り今日はもう疲れたし休もう


俺はそのまま学園を後にし寮に戻った

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