第88話 あるじに従うもう一匹の従魔
一方その頃ーーベクトロンはと言うとクリュウと戦っていた
「お前おせーな!最強のドラゴンなんだろう?なら俺に攻撃当ててみろ」
クリュウはベクトロンの攻撃を避けながら煽り散らす
それにキレたベクトロンは無我夢中になり【竜の伊吹】を放つ
「最強ってのはいつでも弱っちんだな……つまんねーな」
「ならば……貴殿のその心をへし折ってやるわ!」
〘竜の
手に雷属性魔法を纏いながら拳を作りそのまま勢いよくクリュウのいる場所に直接的に技を当てる
「ふはは!どうだ見たか我の攻撃を!」
巨大化された身体はクリュウを潰すのには圧倒的だった
しかし拳の真下から笑い声が聞こえる
「あは………あははは!やっぱりさっきのは嘘……弱いじゃなくておもしれーわ」
盛大にその場で笑い転げると息を切らし深呼吸を入れる
「ふぅ〜……でも最後に勝つのは俺達だ!ドラゴン如きが調子に乗るな」
「ほう?ならばどうする」
「暗黙の力を使いコピーせし 偉大なる力〘
すると地面から黙々と何かが生えてくる
ーー次第にその闇の植物は形を変えていくとそれはベクトロンだったがサイズはあまりにも人間の身長を同じぐらいだった
「そんなもんぶっ壊してくれるわ」
〘竜の伊吹〙
青い炎を口から放ち一気にベクトロンの人形を焼くがそれは全く聞いてはいなかった
「だから言ったじゃん!勝つのは俺達だと」
すると人形はその場で分身を始め少しずつベクトロンに向かって襲う
「なんじゃ!この鬱陶しいのは」
ベクトロンは鬱陶しくなったのか遂にはあまり使っていない爪や牙を使い消していくようになった
数がまだまだ少ないのかベクトロンの人形は次々と無くなると襲わなくなった
「でも……残念だったね、、俺本来の魔法はこんなんじゃない」
少し下を向きながらベクトロンにそう言うと手を翳す
ーー魔力が集まり魔法陣を作り出すとそれはベクトロンの魔法とよく似たものだった
「貴様!?」
「魔名に答えし 集う魔力よ今ここに 〘
〘竜の伊吹〙
ベクトロンの魔法とクリュウの魔法が互いにぶつかり合う
それは同じ魔法だからだ
「やっぱり倒せないか……まぁでも俺の偽魔は相手の真似た魔法と必要とする魔力をそのままコピーするだけだから威力も一緒ってことだし」
「貴様……我の技を」
つまらない表情をしながら悔しい顔になっているベクトロンに向かってクリュウは嫌な顔をする
「つまんないな……最強と謳われたほどの竜がこんな程度とはな」
拳を握りしめたり広げたりっと繰り返した後……クリュウはいきなり走り出すと向かった先はベクトロンの頭だった
「でも……そろそろ俺はお前との勝負飽きちゃったわ!どうせならオストと殺りたいしどけてくれね?」
空中に飛びながら後頭部に向かって何十発も拳を打ち込む
ーーしかしベクトロンにはそれが聞いていなかった
「弱いと思ったか?我はまだまだ強いなんなら今も健在だ」
「ほう?ならその力見せてくれよ」
「そんなに見たいか……ならば見せてやろう!我の力を」
大きく深呼吸を入れるとベクトロンは静かに空気中にある魔素を身体に取り込み魔力に変える
〘
クリュウの周りを囲むように【竜落激】の激しい台風が襲う
「な、なんだよこれ!?」
「もう貴様も終わりだ……くだばれ」
手の合図をすると同時に上から大きな落雷が落ちてきた
それをコピーしようと必死にクリュウは手を翳し魔法を詠唱している
「魔名に答えし 集う魔力よ今ここに 〘偽魔〙」
「魔名に答えし 集う魔力よ今ここに 〘偽魔〙」
「魔名に答えし 集う魔力よ今ここに 〘偽魔〙」
ーーだがもう遅かった何回か言い終えたクリュウに落雷が落ち感電をした
「うぎゃぁぁぁぁぁ!痛い痛い痛い!」
数秒後嵐は消え煙の中からはボロボロになったクリュウがよれよれになって出てきた
「しぶといヤツめ……仕方ないこれで終わりにしてやろう」
原初の竜に生み出され今も尚、継承され続けられている魔法
ーーある時は幾千の人間を殺しまたある時は数万人から攻められている国を一瞬で一網打尽にした伝説の技
名をーー選ばれし竜の爪
「今楽にしてやるぞ」
〘
「………かはっ!?」
全力の10分の1ほど抑えたのだこれぐらいで死にはしないだろうっとベクトロンは心に思う
(こやつには申し訳無いが気絶で済むのだ……いいだろう)
そのままベクトロンはオストの場所へと戻って行った
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