第50話 過去の思い出

俺は悪魔の城、郷炎の基を出てエミリア達がいる場所へと向かう。


「お待たせ」


外に出るとエミリアやザァベスト達がこちらに気づき手を振ってくれているそれに俺は微笑みを浮かべる。


「オー君おっそいよ!」


「ごめんごめん!ちょっと用事が長引いただけだよ」


「ほんとぉ〜?」


疑いの目でシルクは俺を見てくる。まぁ仕方ないのだろう…あんな事が合ってやっと再会出来たのだから


そうこうしているとザァベストが船に乗り声を出す。


「オスト達!そろそろ乗るぞぉ!」


「うん!」


ゾロゾロと乗っていき最終的に俺だけになったがまだ乗れない


「オストまだか?」


「あぁ!ちょっと待って!」


その時、「待ってぇぇぇ〜」っと大声で叫びながら歩美がこちらに向かってきておりそれをみたザァベスト達は驚く。


「オスト!誰だよ!その子!」


「あ〜後で説明するわ、先に乗る」


船に乗った俺たちは海を渡っている間、閻炎魔の件を話すことにした。


最初は迷っていたが歩美は「あの人たちなら信頼できるんでしょ?」っと後押しをしてくれたおかげでようやく話すことが出来る。


「えっとな……まずこいつは悪魔達の王。閻炎魔だ」


「え、閻炎魔!?」


「こいつは俺らに害するつもりはないからさ、安心して!」


「まぁオスト君がそこまで言うなら」


「でも仮に閻炎魔だとしてもオストはどうやって、てなずけたんですか?」


リベストアは信じていないようだ………でもどうやって証明させるか。


「あっ!歩美あれを出してくれ」


歩美の耳元で小さな声で言うとコクっと頷き右手を上に向ける。


「こい!全てを裂き滅する剣よ!アクトベアスト」


唱えると、何も無い上から時空が歪み空間ができる。


異次元の裂け目からアクトベアストと呼ばれる剣がゆっくりと出てきた。


「これがアクトベアストだよ!」


アクトベアストとは初代閻炎魔が生み出したとされる神話武器でありそれは伝説とされており


その伝説の剣アクトベアストで斬られるとーー己の肉体は少しづつ腐っていき最後は魂までもが消滅し二度と次の人生を歩むことができないとされており永遠の地牢獄じろうごくへと閉じ込められそこで彷徨うことになる。


ーーそう語り継がれている。


「ちょ、ちょっとそんな物騒なものこっちに向けないでください!」


「あぁ!ごめんごめん」


リベストアはびっくりしたのかその場で転び頭を打ち気絶した。



しばらくしてリベストアが目を覚ますと目の前には歩美が正座で座っており真剣なポーズで謝る。


「ほんっとすいませんでした!!」


「………」


しばらくの間……沈黙がその場で流れる。


「リベストア……悪いな?こいつが」


「い、いえ!わたくしもびっくりしただけですので、問題ありませんよ?」


「良かった………オスト兄良かったよぉ」


「はいはい」


抱きついてくる歩美の頭を撫でると横で怒った顔で見てくるリベストアがいた。


「あの〜リベストア?どうしたんだ?」


「いえ?何もございませんよ?」


目が笑ってないです………


「オスト兄!オスト兄!」


小声で俺の名前を呼んでくる歩美。


「多分あたしがなでなでされてるからそれで怒ってるんじゃない?」


「あーそういう」


歩美から言われた俺はゆっくりとリベストアに近づきポン!っと頭の上に手を乗せなでなでをした。


「ちょ!?ちょっと!」


「え?して欲しかったんじゃないの?」


「え?いや、、まぁ、その、はい。」


素直になったのかさっきまでの抵抗がまるで嘘みたいだった。

それからリベストアの調子が戻りみんなの元へ戻ることにした


「お騒がせしました。」


「大丈夫だった?リベストア」


「うん……大丈夫ですわ、シルク」


「それは良かった!」


「ところでオスト、閻炎魔を連れてどうするんだ?」


ザァベストが不思議そうに言う

それもそうだ。歩美こいつは悪魔の王で俺達は人間、住む世界も常識も価値観も違う。


だけども歩美は無視できない


だから1つの選択肢しか残らない


「連れていく」


「「えぇ!?」」


船に乗っている俺以外全員がその場で驚く。


「でもどこに置いておくつもりなんだ?」


「とりあえず、王城か俺の部屋か」


「俺の部屋って俺もそこに同居してるんだぞ」


「うん、だから引越しとか?」


しかしーー引越しとなってもお金が無い

つまりだ……引っ越すとなれば稼がなければ衣・食・住が得られない、だからギルドに行きクエストを引き受けるしかない!!!。


「オストと言ったか?」


誰かが俺の名前を呼ぶ。

その声の方向に向くと海龍がそこに立っていた。


「そろそろ私は帰っていいか?」


「あっ!すまんな海龍!変なことに巻き込んで」


「いや私も楽しめたから安心しろ」


そう言って海龍は龍の姿になり海に飛び込む。


「あっ、そうそう!オストとやらお前は気をつけた方がいいぞ?私にもな」


その笑みと言葉に違和感を俺に抱かせたまま海龍は深海へと潜って行った。


なんだーー今の笑みは


それから俺たちは何事もなく俺たちのフィルド国に帰った。



「んんーやっと着いたァァ!」


「ほんとだよねぇ〜」


背伸びをするシルクとエミリア


「ところでオベストはこれからどうするの?私たちは寮に帰るけど」


「一体王城に帰ってこいつを引き取ってもらえるか交渉してみるよ」


「了解!分かったわ」


俺は【転移】を使い王城へ帰ると目の前にいたのは着替え中のクリシスさんがいた。


「え?お、オスト様!?」


慌ててタオルで隠すクリシスさん。


「クリシスさん?って事は……ここは」


「お風呂場ですが」


やっべぇぇぇーー!!【転移】先間違えた!


どうゆう訳か俺は前代未聞の【転移】失敗をしてしまった。


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