第49話 俺と彼女の再会

俺はレッドルとの部屋を後にしコツコツと廊下を歩くとすぐ目の前には大きな扉が合った。


これを開けば………っと力ずくで扉をこじ開ける


「よく来たわね……」


「お前は」


やはり中にいたのはこの城の王である閻炎魔だ


「私はこの城の王の閻炎魔だ、あたしに何か用?」


「あぁ……」


俺は少しずつ口を開いていく最中あるものが目に止まった。


それはーー


「あ、ゆみ?」


彼女いや閻炎魔の顔が前世の妹だった歩美にそっくりな顔立ちをしているのだった。だがここは異世界歩美はいないはずなのだ


いや見間違えか……


「え?な、んであたしの名前を……」


閻炎魔はびっくりした様子でその名前に反応する。


「その顔立ちにその性格……なによりその体格はお兄ちゃん!?」


「どんな見分け方だよ!?」


俺は思いっきりツッコミを入れてしまった。


しかし……まじでどんなみわ、け方だよ、、え?こいついまなんて?


「お前今なんて?」


「その顔立ちにその性格?」


「いやそれのあとだよ!」


「お兄ちゃん?」


「そう!それだ!!」


どうやら聞き間違いではなかったらしいがまだ確証を得るにはまだ早い。


「それで?先に正体をハッキリしておきたいがお前前世の記憶とかある?」


「えぇ、当たり前よ?」


「そうか………ちなみに兄の名前は?」


「修二だよ?久野修二」


めっちゃ俺で草ーーー!いやまて!まだだ!まだたまたま同じ名前だけかも


「その人は何で死んだんだ?」


「両親に殺されて」


うん、、、もう分かったよ……こいつ絶対歩美だわ。


「ったくもう証言もくそもねーわ、歩美久しぶりだな」


「うん!お兄ちゃんも久しぶり」


俺と歩美は何十年ぶりという形で再会を果たした。


まさか閻炎魔になっていたとは知らなかったのだが


ーーとはいえ仮にも歩美は閻炎魔だ、用事を済ませなければならない


「ところで歩美」


「はい?」


「ここの城の悪魔達にさ今後一切俺たちに手を加えるなって忠告できるか?」


「勿論だよ!お兄ちゃんの頼みだしね!」


「そうか、助かる!」


歩美はその場に立ち上がり【念波】の魔法を行使し悪魔達に忠告すると、終わったよ!っとやり切った顔でこちらを覗いてきた。


だがお陰で悪魔達はエミリア達には近づかないだろうっと思う俺だった。


「助かったよ!歩美」


「うん!」


しかしまだ疑問点はあった、何故歩美がここにいるのかそして閻炎魔をしているのかを。


それを俺は歩美に聞く。


「実はあたしねお兄ちゃんが殺されて怒り狂って両親を滅多刺しにしたの」


「め、滅多刺し?」


「そう!あの両親ほんっとお兄ちゃんの価値がわかってないよねぇ〜!」


「うん。そこの部分は置いといて、両親を滅多刺しって神経どうなってんだ?」


「さぁ?分かんないや!えへへ」


えへへじゃないぞ……妹よ。


だが俺の仇をうってくれたのかな?っと思うとすこし心が安心した。


あんな両親生きてる価値はない。それは俺でも分かる


「俺の仇討ちは分かった、でもなんで歩美がこっちの世界に?」


「それがねぇ〜あたしさ両親を殺したあと包丁で自分の首を切って出血死して目が覚めたら閻炎魔になってたって訳!」


「つまり俺の同じく転生系って訳か」


転生系であろうが転移であろうがどのみち前世でいなくなったと思われた妹がこっちで生きていることが分かって俺は安心感を抱く。


また今度神様にも伝えないとな………


「それであたしの部下がごめんね!お兄ちゃん」


「ん?あぁ緋悪魔達か……正直怒りたい気持ちでもあるが怒る気持ちにもなれない」


「お兄ちゃんも変わったね?」


「変わったか?特に俺から見ても変わった部分は特にないとは思うけどなぁ、、あっ!それとお兄ちゃんって言うのはやめろよ?お前一応前世の時は血が繋がってるけどいまは繋がってないんだし」


「んーでもなんて呼べばいいの?修二?オスト?久野?」


「おい!前世の名前を出すな!とりあえずオストとかで頼む」


「分かったよ!オスト兄!」


オスト兄って………まぁでも妹みたいな存在だしいいかな?。前世は本当の妹だったけど


「でも変わったと思うよ?昔なんてあたしの話す時だってごにょごにょ喋ってたし」


「え?そうだっけ?」


「そうだよ!」



それは俺が両親に殺されるまでのことーー。


「た、ただいま」


ガチャりとドアを開け家に入る俺、すると目の前はパジャマ姿の妹が視界に入る。


「あ!おかえり、お兄ちゃん」


「え?あ、う、うん」


そそくさと歩いていき階段を上る。一方で妹は呆れた目で「またか」っと呟きながらリベンジへと入っていった。


また別の日もーー


「い、いってきます」


「お兄ちゃん!一緒に行こ!」


妹は俺を誘ってくれたがそれを「ご、ごめん」っと断り先に歩き出す。


その頃の俺は思春期という事もあって美少女の妹と話すのも緊張していたのだった。


学校に着くと女子からは遠い目で見られ友達はと言うと数少ない友達がいるぐらいなのだ。


「おっ!来たかぁ!パシリくん」


「え?う、うん」


「悪いんだけどさ!俺朝飯食ってないんだわ?パン買ってきてくんね?」


「でもお金………」


「あ”?お前が出せよ!屑が」


このように学校に行ってもパシられしまいには妹にもその現場を見られる始末。


「ちょっとお兄ちゃんになにしてんの!」


「ゲッ!?歩美!悪い悪い」


「悪いって話じゃないのよ?ちゃんと謝りなさいよ!」


「こいつがごにょごにょと何喋ってるかわかんねーからだろ?」


確かに俺が悪い……でもそこまでしてなんでも俺が悪いのか?


いつもごにょごにょっと喋っており発音が聞こえない始末。しかしそれを毎回のように妹は弁解や間に入ってきてくれた。



「これがお兄ちゃんの前世だよ?」


「黒歴史だ……」


「でもそうしてみるとやっぱり変わったよ」


「んーやっぱりこの世界に来て人と関わる事が多くなったからかな?」


「やっぱりあの女の子達のお陰?」


「それを言われると…なんとも」


「まったく……いつの間に女たらしになったのやら」


ぐうの音も出ない俺……妹の言い分は正しかった。


「まぁそんな話はまた今度としてお前はこれからどうするんだ?」


「どうするって?」


「このまま閻炎魔としてやっていくのか俺たちと来るか」


「いいの!?」


「まぁ俺の妹だしな……ほっとけねーよ」


久しぶりの再会もあり妹はほっとけなかったのだ。


「じゃあついてくーー!!」


「あっ!でも王としての仕事が」


「それなら問題ナッシング!先に行っておいて!後で合流するね!」


「あ、あぁ」


それから歩美はそそくさとどこかへ行ってしまい俺はエミリア達の方向へと向かうことにした。


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