第36話 素悪魔フリートの力

素悪魔フリートとは無属性魔法を極めし上位悪魔である4柱の内の1柱だ。


しかし無属性魔法ということだけあって攻撃の手段は少ない。

だから俺は戦式を繰り出す。


〖無数の数は殲滅しひれ伏せーー戦式 無壱〗


前のように素悪魔の体には大きな穴が次々に空いていく。

だが前回と比べ物にならないほどの再生力で体の穴を治す素悪魔フリート。


「人間がどれほど俺様に攻撃しようとも再生力が上回るんだよ!」


「クソ……ならこれならどうだ!」


〖全ての糸を纏い繋げ見通せーー戦式 せん


相手の動きを止め自身の素早い動きと同時に糸のような切れ味を出し瞬発の動きで相手の首を切る技。


その糸を使い俺は瞬時にフリートの首を落とす。

しかし郷炎の基は悪魔に有利ということは本当で落としたはずの首は元に戻りフリートの意識も戻った。


「ぐふ…ぐははは!てめーでは俺様を倒すことなんて不可能なんだよ!」


「………チッ」


魔法も武術もこいつには効くが圧倒的な再生力でその痛みを全て上回る。


だがしかしーーそんな悪魔でも倒す方法は存在する


それはーー


『圧倒的な再生力は圧倒的な力で超える事』


ホンマントゲームでもその力技で俺は素悪魔フリートを倒した。

実際には攻略サイトでもそんな感じで書いていた。


(しかしゲームとかだと死んでもリスポーンできるから問題ないけどこっちだとそうにはいかないからな……)


「さぁ!もっと来いよ!もっともっと俺様を楽しませてくれーー!!」


フリートは雄叫び上げながら悪魔特有の真っ黒な翼を大きく広げ爪を立てながら襲ってくる。


〘縮地〙


俺は爪で攻撃される瞬間に魔法を発動し後ろに回った。


(しかしゴリ押しとなってもいま使える第式は少ない………)


〘第1式 炎灯華〙

〘第2式 黒楼無造〙

〘第3式 雷翔星〙


今のところ使える第式はこれぐらいであるのだ。


増やそうとは思ったのだが増やすには練習や技のイメージが必須。

だからそう簡単に増やそうと試していたりするのだがそうそう上手くいかない。


(でも……一か八か第式に掛けるしかないか………)




〘最超撃徒〙


「くっ!?…………」


フリートはいきなり上級の無属性魔法を撃ってきた。


最超撃徒は各属性の魔法を最大限に引き出し魔力自体を放つ技だ。


「まだまだだ!!食らいやがれ!人間が!」


(このままでは文字通り俺がやられてしまう……なら!)


無属性魔法を極め超えし大量の魔力が必要となり極意魔法の〘死縛〙と同格の力を持つ魔法。




絶禁滅ぜつきんめつ


それを受け堪え耐えた者はほぼいないとされており例えるならば『全滅』と言う言葉が相応しいとされているのが極意魔法なのだ。


「ぐわぁぁぁぁぁ!き、さま……一体何を………」


「なーにお前ならばすぐに回復できるだろ?ちょっとした時間稼ぎさ……」


「小癪な真似を……」


そう。"時間稼ぎ"なのだ。


あえて極意魔法で倒す必要は無いそれにもう極意魔法は使えない。


魔力が数万いや数十万必要となる魔力量だ。

次に使えたとしても明後日以降だろう


(いくらあいつが再生力が高くても極意魔法を食らった後だ……そう簡単には再生できないはず……)


俺の予想が的中したのかフリートは中々再生が完了せずに細胞の再生をしている。


「くそくそくそ!なんでなんだよ!早く再生しろ!」


「フリート……お前は詰めが甘いぞ?」


「あぁ?なんだと!?人間風情が調子に乗ってんじゃーーは?」


バシュン!っと音とともにフリートの右腕は空高く飛ばされておりフリートは困惑をした。


「は?……なんだよこれ!?再生が嘘だろ!?俺の腕が!」


「そりゃそうだ……お前が腕を再生する瞬間その出血していた肩に石ころを投げただけさ……」


「な、んだと……!?」


「知ってるか?手術とかでもな異物が入った状態ですると後遺症が残ったり腕がちゃんと機能しなかったりするんだよ……」


「まさか!?俺様の体にそれを入れたって訳か!」


「あったり〜!まさにその通りだよ?」


「き、貴様ーーー!!」


フリートは深呼吸をすると次第に絶禁滅で破壊されていた細胞や体は治って行ったが腕だけは上手く治らずにいた。


「くそくそ……腕が上手く再生できない!」


「そりゃ〜大変だな……それは取り出さないとだな」


「な!?」


俺はその一瞬の隙にフリートの懐に入り込む。


「や、やめーー!」


〘第3式 雷翔星〙


流れ星のように真っ直ぐにものすごいスピードで雷を落としていく技。

それを素早く避けたフリートだったが隙は与えまいと俺は続けて第1式を撃つ


〘第1式 炎灯華〙


腕は再生せず体力もろくにない状態のフリートはその第1式を避けられずもろに食らった。

煙の中から出てきたのはボロボロになった状態のフリートだった。


「き、さま………」


「もうお前は終わりだ……死ね」


「ふ、ざ………けるな」


「は?」


「ふざけんなァァ!!俺様は高貴な悪魔!素悪魔フリート様だァ!」


雄叫びを上げたフリートは大きな黒い魔素を身に纏い次に姿を現すと


禍々しいオーラを放ったフリートだった。


「我は……人間を抹殺する為に生まれてきた者だ」


「覚醒か………また面倒な事に……」


「我は我は我は………殺す殺す殺す殺す!!!」


どうやら素悪魔フリートは大きな感情により覚醒後になってしまったようだった。

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