第11話 お砂糖
さて………昨晩俺の婚約者(仮)が決まりいつ会う?的なことはまた後日ということになり俺は何となく王城の廊下を歩いていた。
(なんか暇だなぁ〜本当は魔法の訓練とかしたいけどまた辺に見つかるの嫌だし、しばらくは大人しくしてよっと………)
そんなことを考えながら歩いていると、メイドさん達とぶつかった。
「痛!」
「あぁー大丈夫ですか!?オスト様」
「うん、大丈夫だよ、アリア」
「良かったです」
俺とぶつかったのはメイドのアリアだった。
「オスト様〜お怪我とか無いですか?アリア〜気おつけなよォ」
「ご、ごめん」
「俺は大丈夫だよ………気にしないでクレハ」
そう、俺に気を使ってくれたのはクレハという名の女性で黒髪ロン毛な人なのだが…………。
彼女は凄く甘味にうるさいのだ………特にだ……先日のこと、、
◆
「マステさん!砂糖はあまり使いすぎないでくださいよ!」
「分かったよ………クレハさん」
いま注意されてたのは、マステと言う人でありごつい体の割にはやたらと人に甘いのとこのお城の料理長もしている人だ
「ったくマステさん…この間も内緒で砂糖を仕入れてましたよね?」
「うっ………」
「いい加減にしてくださいよ?いくら料理長だからって限度ってもんがありますからね?」
「はい…………」
俺はそのような光景を…何度も何度もこの目に焼けつけてきたのだった。
(それにしても良くもまぁー飽きないよね………あの夫婦の痴話喧嘩………)
夫婦と言っても実際に結婚している訳ではなく…いつも喧嘩している為、周りからはお似合いの夫婦とまでに評判されているのだ。
まぁー当の本人達はそれを一切認めてないけど……
◆
っとまぁーこんな感じで毎日こんなやり取りを何回もしている
本当に見せられてる立場にもなって欲しいな
「それじゃークレハもアリア達も気をつけてね」
俺は後ろにくるりと周りキッチンに来た。
すると目の前にはマステがいた。
「マステ……何してるの?」
「んあ?あぁーオストじゃねーか!これか?これはな自作のお菓子を作ってんだ」
「へぇーなんかいい匂いがするね」
「そうだろぉー?まぁこんな所をクレハ達にでも見つかってみろ!また俺怒られちまうわ!ハッハッハ!!」
マステは笑い事のようにそのようなことを言うと俺はこれはテンプレだとクレハさん来るんじゃね?っと思いながらもマステの料理を見ていると…それが的中してしまったのかクレハさんが壁越しにこちらを睨んできたのだ。
(え?なにあれ?怖いですけど………これマステ無事じゃすまないよな?えーどうしよ………伝えた方がいいかな?)
俺は悩みながらも考えた結果…………。
(よし!ここは伝えなきゃ男の恥だよね!すまんな!マステ………)
心に決めた俺はマステに早速、伝えることにした。
「マステちょっと悪いんだけどさ………後ろ向いてくれない?」
「なんだよ?オスト〜誰か後ろにいる……の……か……………」
マステはスっと喋りながら後ろを向くとそれはまるで鬼の仮面を被った様なクレハさんが突っ立っていた。
「やぁどうも、、クレハ……今日はお日柄も良いですな!ハッ……ハ……ッハ!」
マステはわらいながら挨拶をするが……それは声が震えながら喋っていたのだった。
それから5分後の事………。
マステはクレハさんによって土下座をさせられていた。
「マステさん………私何度も言いましたよね?砂糖を使う時は、、事前に私に言って下さいと………。」
「はい!そうでした………」
「いつもいつもそうですよね?私にそのような事前の連絡もなしにお菓子を作って失敗して………はぁ何がしたいんですか?」
「えーっとお菓子の新作を作りたくて………」
マステは必死に弁解しようとしているがそのような技は一切クレハさんには聞かなかった。
「まったく………別にお菓子を作るな!とか言ってないですよ?ただ砂糖は貴重品なんですから大切に使ってもらわないと」
「はい………以後気をつけます」
「本当に………分かってるんですか?」
「はい、、分かりました」
クレハさんは溜息をつきながらキッチンを後にし部屋を出ていった。
するとマステはいきなり元気になりまたお菓子を作り始めた。
「マステ……さっき怒られたばっかだろ」
「砂糖を使わなかったらいいんだろ?なら問題は無いぜ!」
「そっか」
マステの料理の邪魔をしては行けないと俺は思い、キッチンを出た。
(お菓子で思い出したけど……そろそろ俺も新しいデザートとか作りたいな)
勿論これからも色んなお菓子を作っていくつもりだが………それにはまず材料が足りない!それもいちばん重要なやつだ!それは砂糖なのだ!!
(でもキッチンにある砂糖使ったら俺もクレハさんとかに怒られそうだからやめとこ………)
俺は悩みながらもたまたま窓を見ていると城下町は大きく賑わっていたのだ。
(なんだあれ!?祭りかぁ!いいなぁ俺も行きてぇーー)
しかし俺はまだ5歳だ………行けるはずがない……いやただしくは行きたくても両親たちが許可するかの問題なのだ。
さてとそんな心配をしてもしょうがないと思い俺はいま………父親がいる仕事部屋の前に突っ立っているのだ。
「許してくれるか、分からないが………俺にはお菓子という目的があるのだ!」
ガチャりっとドアを開け、父さんの前に立った。
「父さん」
俺は父親を呼ぶと仕事モードは終わりいきなり家族モードになった。
「オスト〜!なんだぁーい」
「相変わらず息子好きは治らないんですか?」
「そんなもん知らん!」
言っちゃったよこの人…………しかし親からこうされるのも案外いいかもな………
(っとそれよりもあのことを伝えないと)
「父さん……俺用事があるので城下町に行って買い物をしてきてもいいですか?」
「城下町だと?」
「はい」
「おっけ〜!気をつけてねぇー」
あれ?意外とすんなり了承してくれたぞ?でも有難い!
「ありがとう!!」
俺は部屋を出ると壁にもたれて満面の笑みでニヤッとした。
(やったぜぇ!これで正々堂々城下町に買い物が出来るぞ!にしてやけに承諾が早かったな…………まぁ〜別にいいかぁ〜)
「さてと!そんじゃー城下町にでも行きますかね!」
その時俺は………まさかあんなことになるなんて思いもしなかった。
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