ソロBBQ
私池
第1話
「
「いや、特にないぞ」
今話しかけてきたのは
こいつ、中身はダジャレ下ネタどんと来いのガチなオッサンなんだ。 凄くいいヤツなんで割と
自己紹介が遅れてすまない。 俺は賀来健、ケンじゃなくてタケシね。 社会人三年目の自称イケメン、まあ異論は認める。
「じゃあさ、ソトバーベキューいかね?」
ソロバーベキューだと? こいつソロの意味知ってんの? 一人って事だぞ?
は、待て。 きっとこいつの頭の中はキャンプ=バーベキューになっていて、ソロキャンプをソロバーベキューと思い込んでいるに違いない。
「いいぞ、それで電車で行くのか? それともクルマ?」
「出来ればクルマ出してほしいんだが。 駅からだとかなり遠いからな」
「分かった。 じゃあ特別に俺様のブラックダイヤモンド号出してやろう」
「キメーよ! 何自分のクルマに名前付けてるの? しかもブラックダイヤモンド⁈ 勇者特急かよ」
ほっとけ!
それはさておき、俺はソロキャンプなんかやった事はない。
何も分からないから専門店に行って下調べしないと。 この辺りだと「一位スポーツ」か「朝日山荘」だな、駅から近いのは「一位スポーツ」か。
「すみません、ソロキャンプ始めたいんですけど、どの辺がおすすめですか?」
さすがアウトドア専門店、用途と頻度を言ったら店員さんが紹介してくれるんだけど、細かいスペックまで出てくる出てくる。 素人に細かいこと言われても......
一式買って約十万円、高いのか安いのかすら分からん。 みんな、買い物する前にネットで調査、これ重要だぞ!
そしてGW後半の五月某日、待ち合わせ場所に行くとひよりがいたんだが......
ナンパされてたよ。
「ひより、待ったか? あれ、知り合い?」
ひよりに声を掛けると、ナンパしてたニイチャンは去って行った。
でも、ナンパする気持ちも分かる。
会社じゃ地味系の色で身体の線が出にくいスーツだが、今日は女の子っぽい、と言ってもガーリーじゃなくてフェミニンな感じの装いですっごく綺麗可愛い!
化粧も薄めだけどちゃんとして、なんか凄く良い!
そうだ、入社式の時のひよりだ。
「な、なんか凄く綺麗......だな」
「あ、ありがとう」
「じゃあ行くか」
「うん」
あれ? 荷物は? キャンプ場に送ったのかな? フルレンタルかも知れないし、まぁいいか。
「で、どこに行くんだ?」
「九十九里なんだけど、大丈夫?」
「ナビしてくれれば大丈夫」
「なんかしゃべり方もいつもと違ってない?」
「うん、いつもはタケくんが教えてくれた通りに話してるから」
「俺? 何か言った?」
「新入社員歓迎会の時、絡まれてたらタケくんが助けてくれて、帰りに教えてくれたじゃん」
そうだった。
地味で身体の線が出ないスーツにダサい化粧、下ネタには下ネタで返して、セクハラされないように一対一の時は距離をおけって言ったの俺だ。
「おかげで会社では助かってます」
「う、うん。 なら良かった」
このルックスとスタイルで女の子っぽく話されたらすっごく意識してしまう。
やばい、いま血圧測ったら楽に200-120は超えてるだろう。
その後も当たり障りのない会話を続ける内に三時間くらいで九十九里に。
「なあ、九十九里にキャンプ場ってあるの?」
「キャンプ場? なんで?」
「え? ソロバーベキューって言うからてっきりソロキャンプと間違えてるのかと、それで経験ないからソロキャンプ×二人じゃないの?」
途端に助手席でひよりが大爆笑。
「違いますよ〜、外(そと)バーベキューって言ったんですけど」
「何その外バーベキューって。 バーベキューは外でするもんだろ」
「ウチの家族は庭でするのを家(うち)、河原や公園の施設で大人数でやるのを外バーベキューって言うんですけど、言わないですか?」
「言わないわ! 大体都会じゃ、庭でバーベキューする文化はないから」
豪邸以外、お隣りさんとか色々あるからね。
結局行き先は彼女の実家で、一族に紹介された後、河原でやるバーベキューに参加したよ! みんないい人で楽しかったよ! 何故か分からんが婿扱いされたけど!
その後、泊まった時に彼女から告白された事や、ソロキャンプ用品を三、四人用に交換してもらった事、三年後に結婚して子供が二人できたのはまた別のお話。
〜 了 〜
あとがき
拙作をお読みいただきありがとうございます。
はじめソロバーベキューは割引券で一人焼き肉にしようと思ったんですけど、健があまりに可哀想なので外バーベキューにしました。
(ないと思いますが)需要あれば告白話や結婚話書きますからリクエストよろしくです。
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