銀牙流狼/The Silver Wolf Slicing Through the Darkness
Episode1『銀牙流狼/The Silver Wolf Slicing Through the Darkness』
銀牙流狼/The Silver Wolf Slicing Through the Darkness
いんぬくん
Episode1『銀牙流狼/The Silver Wolf Slicing Through the Darkness』
宇宙暦21021年、かつて地球と名付けられた小箱に縛られていた人類は、1万年以上もの昔に機械生命体との会遇を果たし、地球を脱して宇宙に散らばっていった。
それ以来、長い年月をかけて繁栄に繁栄を極めた人類はおよそ2兆という数にまで生命を生み出し、やがて戦火をも生み出した。
戦火はやがて炎となり、人も機械も選別する事もなく焼き尽くていくが、その度に人類は多種を巻き込んでは再びの繁栄を見せた。
こうして人々は新たな生命を、星を、やがて全てを作り出して行く。
神が如くの力を得た人類により創造された一つの星の上、この物語は幕を開けた。
『銀牙流狼/The Silver Wolf Slicing Through the Darkness』
[惑星マリア]
人の住まう事はおろか、生命すら存在しない荒れた砂漠の上を、一台の巨大なランドクルーザーが砂煙を上げて西へと走る。
惑星唯一のオアシスを目指して走るあまりにも大きすぎる車体の中には、300人を越える兵士が僅かな居住スペースで眠りについていた。
僅かな火薬の臭いがする通路から少し離れた場所に、彼の部屋は存在した。
月明りに照らされた大地を窓から眺める姿は、男にしては珍しく長髪であった。
「シルバリオ隊長、失礼します」
粗雑に建て付けられた簡素なドアが叩かれる。
「……チタラか。入れ」
憂う顔をして外を眺めている厳つい顔の男の名、それがシルバリオであった。
窓から入り込む乾ききった風が、生命の気配を感じさせない風が髪をなびかせている。
手元では荒野に紫煙を漂わせていた煙草の灯火が、ひっそりと消されていた。
簡素なドアが開かれると、貧相な顔をした連絡員のチタラが寝不足気味の表情で喋り始めた。
目元に隈を作り、今にも倒れそうな彼だが、人一倍働き者の証でもあった。
「はっ。シルバリオ隊長、現在惑星マリアの居住区域に向け進行中、明日の午前5時頃には到着する予定であります」
「到着時間はいい。……他に要件はあるか」
そう呟くと、視界の片隅で青い光が空をよぎった。
(流星か?いや、流星というにはあまりにも尾が長いな。これは……)
「はい、他の要件としては……? 隊長……?」
黒い瞳の視線をどこかへと向けているシルバリオに、部下の男は不思議そうに話しかける。
いつもは無口で職務を淡々とこなすだけの彼が、珍しく夜空を見上げる姿がさぞ珍しく見えたのだろう。
「……いや、なんでもない。続けてくれ」
「はい、次は……
一瞬の静寂を裂いて、サイレンが鳴り響く。
『北の方角より高熱源反応接近中。各員戦闘準備!繰り返す...』
(やはりあれは流星ではないのか。だとしたら、一体……)
思考を脳裏に駆け巡らせた刹那、無限に続くような砂漠の彼方から、再び青い光が見えた。
(……!来る!)
ランドクルーザーから放出されたバリア・フィールドが、青い光を拒む……かと思ったが、その青い光の弾速はそれ以上に素早い物であった。
薄水色に光るバリア・フィールドは、光速には劣るものの、かなりの速度で迫りくる青い光を防ぎ切る事ができなかった。
「総員退避ー!!」
無理を承知で声を上げたシルバリオが回避する間もなく、ランドクルーザーを貫く弾丸のように、その光は彼らを一瞬の内に包み込んだ。
戦場の兵器の飛来速度とは段違いの、青い流星に飲み込まれたかのような衝撃が、体を後方へと押しやる。
ジリジリと肌を焼くような感覚、それに加えて激しいサウンドアンドライト。
鼓膜を破壊しかねない激しい音の中、押し寄せる濁流のように激しい勢いに吹き飛ばされそうになるも、背後に居た部下の背を突き飛ばして少しでも遮蔽物のある場所へと逃がす。
次第に黒い瞳に映る景色全てが、青い光が白くなる程に包まれていく。
(遮蔽物が多い方に突き飛ばしたが……俺もここまでかッ……)
なおも抵抗を続け、左腕を盾に少しでも抗おうとする彼を嘲笑い、光に溶かし込むように徐々に意識が薄らいでいく。
次第に視界が白く埋まり、やがてどこかへと意識は飛んでいった。
―――――――
――――――
―――――
[アングルボザ研究所]
『……被検体No.1893 生命活動再開しました。エヴァグリオス注入手術成功です』
……幾程の時が過ぎただろうか。意識無き彼の体は、手術台の上にあった。
広大で真っ白な部屋の中央に置かれた彼の体を、周囲から無数の科学者達が見つめている。
手術成功の一報を受けた老齢の研究員が安堵の表情を浮かべ、ため息と共に椅子の背もたれに寄り掛かる。
サーバーから汲まれた冷水に口をつける彼の後ろで、二人の研究員が会話をしていた。
「しかしノア様も諦めが悪いお方だ。成功例を生み出すまで何人も使い捨てにしてきたからな……」
「この研究所から成功例が出ない事に相当お怒りらしいが……そこは我々にもどうする事が出来ぬ所だ」
「それに今回の被験体の左腕だけくれだなんて、やはり変わった人ですよね」
中央で目を瞑り、まるで死んだかのように呼吸一つしないシルバリオを研究員達が監視し続ける。
先程までと違う点を挙げるとするならば……彼の左腕が銀色の義手へと差し替えられている事であった。
「注入はしたが起動して生き残るかが問題だな……致死率99%、選ばれし者かどうか……」
レバーを倒すとともに天井から吊り下げられた機械がプレス加工するかのようにシルバリオの体にセットされ、その姿を物々しい機械の塊が隠す。
その内部では、腕の形を感知すると共に左腕を固定していた。
「しかし、きっと死ぬのに、何故義手なんてわざわざ付けるんでしょうかね」
「さぁな、せめて人としての形を残して死んでいけとでも言うんじゃないか」
雑談をする若き研究者達の会話を遮るように、コーヒーの入ったマグカップが置かれる。
「静粛に。……では、エヴァグリオス起動実験を開始する」
―――深い意識の闇の中、シルバリオは夢を見ていた。
何もない無限に続く暗闇の中、自分が一人佇む。
その目の前には、銀色の狼が対面するかのように座り込んでいた。
波打つようにうごめくシルエットの巨大な顔が、彼を見つめていた。
言葉を口にしようとするも、その声は声になる前にかき消える。
戸惑う彼の目の前で、狼はゆらりと立ち上がり、牙をむき出しにした口を開く。
(オマエハ、ワタシダ)
『違う。お前みたいな獣と俺は……一つにはなれない!』
(オマエハ、ワタシナノダ)
(チニクヲクライ、カラダヲクレナイニソメルワタシガ、オマエジシンナノダ)
(オマエハ、ワタシトナルノダ)
『何を言って…………』
意識の闇の中で狼は歩み寄り、やがてシルバリオの体に溶け込んだ。
(ワタシハ、オマエジシンナノダ)
『やめろ……!俺は……俺は……!!』
―――――
――――
―――
「生命維持活動確認。細胞修復機能……現在修復速度108%、被検体変異も見られません」
モニターが正常値を指し、数人の研究員達が安堵の声を漏らす。
彼らが行っているのは、血管中に超再生能力を有した人工細胞を注入し、それに適応する人間を選別する事。
非人道的であり到底認められようのない実験ではあるが、この研究所では起動実験が行われ、被検体が"廃棄"される事が最早日常茶飯事であった。
無数の屍を築いてきた中での初の成功例に、狂気の中に存在する事すら忘れた喜びにうち震える者さえ居た。
「長かった……とうとうこの研究所でも初のエヴァグリオス適応成功例を出せましたね」
「ああ……後はノア様に報告レポートを提出するだけだ」
「……!?待ってください!」
パラメーター・グラフを管理するモニターの前に座っていた研究者が額に脂汗を浮かべる。
「どうした?生命維持に問題はないようだが……」
「細胞修復速度110%……120%……上昇してます!」
あり得ない報告に、安堵の声に満ちた研究員達に緊張と動揺が走る。
「馬鹿な……これではまるで暴走ではないか……」
「暴走ってそんなまさか……ノア様はこの細胞を究極の再生力を持つとしか言ってなかったじゃないですか……」
「130……140…………!!被験体の肉体に異常反応発生!」
「なんだ……何が起きているんだ……」
震えた手からコーヒーが注がれたマグカップがこぼれ落ち、床の上でガラクタと化す。
人の手では持ち上げる事すら敵わない機械の向こうで、確実に変異は起きていた。
「まさか……エヴァグリオスの真の意味とは……こういう事だったのか……?」
不穏なことを口走る老齢の研究員の前方で、監視役が見る事を拒否したモニターは異常な数値を出していた。
「そ……総員退避準備……」
若き研究員が見たこともないような焦りようで、老齢の研究員は一歩、二歩、その身を後ろに下げる。
その眼鏡と特殊ガラスの向こうで、重苦しく物々しい機械の塊がガタガタと音を立てていた。
低く、響き渡るサイレン音が施設全体を包み込む。
ガタガタと音を立てて揺れ動く重厚な機械の中、今、まさに怪物は目覚めようとしていた。
『エリア30から51まで全て隔壁封鎖完了!』
「こんな透明なガラス一枚で隔てた場所に居る我々はどうなるんでしょうかね」
「さあな……何せこんな事態は初めてだ、何が起こるか誰にもわからん」
『危険物処理用兵器システム、動作確認完了』
研究所には見合わないような大口径ビーム兵器が稼働壁から飛び出し、姿を現さない化け物に標準を合わせる。
「せっかくの成功例だが……こればかりは仕方あるまい、制圧班にも連絡を回せ」
鬼が出るか蛇が出るか、いまだかつて無い緊張感に包まれる研究所の中、機械の塊は徐々に形状崩壊を初めた。
「計器、ケーブル全損……来ます!!」
ヒビが入り、最早何の役目も果たさなくなった機械が徐々に白い床に転がり落ちる。
重く、大きすぎる墓石を押しのけるように、その化け物……否、シルバリオは姿を表した。
「■■■■■■■ーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
―――はっきりと姿こそ見えないが、言葉にすらならない叫びと共に、特殊ガラスが激しく揺れ動き、照明がちらつく。
ウォーターサーバーの水が波打ち、研究員の数人は腰を抜かして床に尻餅をついた。
「ユニゾンブラスター発射!」
老齢の研究員の一声と共に、全方位から青白い光弾が発射される。
対要塞用にも用いられる一点集中型レーザー兵器の激しい光と共に、無数の爆音が響く。
要塞の堅牢な壁をも融解させる兵器だが、当の開発者も実験室で使われる事を想定していなかったのだろう。
視覚と聴力が使い物にならなくなった研究員達が再び機能を回復する頃には、青白い煙が特殊ガラスの向こうに満ちていた。
「……まさか吼えるとはな。しかしこれで跡形もなく……」
……次の瞬間、メキャッ、とブラスターの激しい音と光の中、稼働音とは違う激しくも鈍い音が聞こえた。
「…………冗談だろ……?」
彼らの嫌な予感は、最悪の形で的中する事となった。
「■■■ーーー!!!!!」
ズガァン!と凄まじい音と共に咆哮が聞こえ、銀色の左腕が白い壁を大きくへこませる。
特殊ガラスにも大きくヒビが入り、数々のデータを記憶する媒体が棚から落ちた。
「…………お、おい……ブラスターは……」
「……命中率100%、ですが全基全損です……」
あまりにも受け入れがたい光景、非現実的なまでの驚異が眼前に迫りくる。
彼らの頼みの綱である防御機構は、一瞬の内に破壊され尽くしていた。
「非常凍結装置作動……それと……逃げろ……逃げろォォォー!!!」
蜘蛛の子を散らすかのように非常扉から研究員達が逃げて行く中、打撃音とも射撃音とも異なる音が鳴り響く。
まるで金属をたたっ斬るチェーンソーじみた音、その音の先には銀色の爪が光る。
生死を操り研究する立場ではない。死をもたらされる犠牲者になる立場だ。そう察した彼らの本能が、逃げるべく出口へと足を向ける。
生まれ出た事を呪うような人でも獣でもない叫び声が、少しずつ大きくなる。
破壊するのに戦車砲10発でも足りない程の耐久力を持ちうる特殊ガラスを銀色の爪が貫き通す。
研究員たちが部屋から逃げ切るまで1分半、最後の一人が扉から出た所で、銀色の化け物はその影を赤い非常灯の元に晒した。
触れた物質を直様凍結させてしまう科学薬品を物ともせず、赤い瞳が八つ当たりするように防御障壁を切り刻んで破壊する。
圧倒的防御力を有するその壁が、まるで紙細工のように一瞬の内に崩れ去った。
「■■■■■■■ーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
三度の咆哮と共に、全てを凍らせる煙が晴れ、ウォーターサーバーがその衝撃でなぎ倒される。
足元に氷と化した水が転がる中、その影がはっきりと見え、赤い瞳が獲物を探すように辺りを見回している。
シルバリオの影は人型でなく、巨大な銀色の狼に"変身"していた。
『緊急警告!緊急警告!被検体No.1893脱走!総員制圧武装にて対処開始!繰り返す!---』
アナウンスと共に、揃わぬ足並みで戻ってきた研究員たちが銃口を向ける。
その後方からはより強固な武装を装備した制圧部隊の姿も数名見受けられた。
白衣の上に纏う灰色のプロテクターに黒い防御用スーツ、実弾式のライフル……
恐怖で足が震えている者も居る中、銀色の狼は低くうなり、光る赤い瞳を向ける。
「撃て!」
橙色混じりのプロテクターを装着した隊長らしき男の指示で、ライフルの引き金は引かれた。
銃口からのマズルフラッシュと共に銃弾が狼を狙い撃ち、化け物は抵抗する間もなく息絶える…………はずであった。
銀色の狼……シルバリオはそれを意に介す事すら無く、ただ立ち尽くしていた。
無数の金属を束ねたような毛並みが、銃弾を受け止め、跳ね返し、一部が欠ける事すら無く、未だ健在であった。
その毛並みに阻まれた銃弾が跳弾となり、後方に居た数名の制圧班が負傷する。
「化け物め……!」
再び銃を向ける、忌々しき化け物を作り出した者達の恨むような声は、シルバリオには届くはずも無かった。
―――分厚い防御障壁を銀色の体がいとも容易く貫く。
低く唸る体には絶えず銃弾が当たり続けているも、効く事もなく猛進を続けていた。
「■■■■……!!!」
刃物のような尾と爪先は既に鮮血に濡れ、その足元には鉄くずと化した防具と銃器、血溜まりと化した人だった物が転がっている。
彼は、生まれ出た事を呪うかのように、立ちはだかる者達の命を虫を踏み潰すように軽々と奪い、猛進を続けていた。
今この瞬間に大量のグレネードが炸裂するも、特に目立ったダメージを与えられないまま研究員達は蹂躙され続けていた。
ほとんど廃墟と成り果てた研究所の残された一角で、残された者達は恐怖と後悔にうち震えていた。
「クソッ……ノアの野郎……俺たちを騙してあんな化け物を作らせやがって……」
「最早私達に打つ手はないわ。せめてあのエヴァグリオスとやらの情報を残して……」
「しかし、これが今まで散々命を弄ってきた報いなのかもしれんな……」
老齢の研究員は、何かを覚悟したかのように、隠し持っていた煙草に火を付けた。
「……残念だが、このままではもう我々が生きて帰る事はない。ならば最後の報いとしてその情報を流出させてしまおうじゃないか」
彼の目の前に展開されていた空中投影モニターに映る館内マップは<<全通路通行不可>>と表示していた。
「ですが教授……」「我々がやってきた研究は決して褒められた物ではない。……故に、報いは受けるとするが、ただで死ぬ訳にもいかんのだ」
「全プロトコルとエヴァグリオスに関するデータをアップロードしろ、最後のコードを入れるのにはそれでも遅くない」
薄暗い部屋の外では銃声が聞こえ、僅かな断末魔と共に途絶える。
……やがて煙草の臭いを嗅ぎつけたのか、最後の障壁を削り取るチェーンソーじみた音が聞こえ始めた。
「…………全情報、アップロード完了」「……コード・ファイナリー……コマンド"SETTING SUN"」
次の瞬間、邪悪な声と共に、銀色の爪先が老齢の男の胸を貫いた。
「皆、すまない……」
最後の一言と共に、残された者達諸共、銀狼も、残骸も、全てが全てを消し飛ばす光に包まれて行った。
―――――――
――――――
―――――
どれほどの時間が流れたであろうか。周囲が薄明るくなり、日がまた登る。
それを照らすのは瓦礫、ガラクタ、破片、ゴミの山々。
世界全てが消え果てたような、広大に続く虚無の山々。
その中心で、シルバリオは気を失っていた。 ……彼は、生き残ってしまった。
体こそ人の身に戻りはしたものの、彼は彼の気づくことのない間に全てを失っていた。
……やがて、血煙と埃にまみれた大地に転がる意識が戻らない彼の元へ、誰かがやってきた。
「……あら、こんな爆発で生き残っている人間が居るなんて不思議ね」
薄汚れた白い衣服の女が、資材になりそうな金属片を籠に入れながら近寄る。
「……どうするのお姉ちゃん、もう金目の物は無さそうだけど」
薄汚れた黒い衣服の少女が、血のついた瓦礫に興味を示す事も無く投げ捨てる。
「そうね。……何かこの崩落の理由を知ってるかもしれないし、ひとまず連れて帰りましょう」
二人の女が意識のない彼の体を引きずり出すと、銀色の義手が朝日に輝いた。
(これは……思ったより大変なことになりそうね……)
(次回予告)
地獄から這い出たシルバリオは、現世の地獄で二人の女と出会った。
一人は刃を握る白い衣服の女ホワイティス。もう一人は銃を握る黒い衣服の少女ブラクネス。
身を同じくして、生きながらにして牢獄のような世界に囚われていた彼女達は、シルバリオに明日を託した。
機械仕掛けの左腕の輝きにも負けぬ輝く明日が欲しい。銀色の輝きよりも眩しい朝日を眺めたい。
二人の気持ちは、やがてシルバリオの心すら突き動かした。
次回 『見えぬ明日』
目覚めた狼が喰らう物は何か。
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