また会う日まで

平 遊

疑惑

『やっぱりお兄ちゃんおかしいよ!私、明日お兄ちゃんの所に行ってくるから!』

隣のリビングから、ユミちゃんの声が聞こえてきた。

ユミちゃんは、私の夫、ケイタさんの妹。私にとって、義理の妹になる。

ユミちゃんはケイタさんの事が大好きで、最初の頃はユミちゃんの私に対するアタリは、ものすごく厳しかった。

それも今では、笑える思い出だけれども。

それにしても。

ケイタさんがおかしいとは、どういうことだろう?

仕事の関係で単身赴任をしているケイタさんの所へは、先週末に行ってきたばかりだ。

『作り置きのおかずの作り方を教えて欲しい。』

っていうから、教えてあげながら一緒に作ったし。

1人暮らしの経験もあるから、意外にきれいに片付いていて、特におかしい所は感じられなかったのに。

それに、なぜ私にではなく、お義母さんに言うの?

『ねぇ、お母さん、聞いてる?も~、お母さんったらっ!』

ムリムリ。

今の時間帯、お義母さんはドラマの再放送に夢中だから、聞いてたって、よくて話半分。

それじゃなくても、ユミちゃんの声は聞こえていないだろうし。

あの、ドロドロの不倫もののドラマに、どっぷりハマっているみたいだからなぁ、お義母さん・・・

そこまで考えて、ハッとした。

お義母さんに言えて私に言えないって、もしかして。

(ケイタさん、浮気してる・・・?)

『明日お兄ちゃんとこ行く前にまた寄るからね!』

この言葉を最後に、ユミちゃんの気配が消えた。

自分の所に戻ったのだろう。

そんなことより。

ケイタさんの事が気にかかる。

私もユミちゃんに付いて行こう。

そう、決めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る