甘党少女
夢の様な時間を過ごし、
食べ終わったカップラーメンの容器を見て、
現実だと言う事に気付かされる。
ぐぅ〰️。
「、、腹へった」
仕方ないので、じいちゃんの家に向かう。
ガラガラー
鍵は普通に空いていた。
不用心だな、、
「じいちゃん?
上がるよ」
返事はない。
寝ちゃったのかな、、
歩く床は軋みながら音を鳴らす。
「じ~ぃちゃーん、、」
居間でテレビのリモコンを持ちながら、
じいちゃんはうたた寝をする。
「こりゃ、遺伝だな。」
テレビでは、昔の偉人特集をやっていた。
薄い毛布を見付け、肩にかける。
男性「このお父さんに当たる方が、
もんのすごい頑固で、子供の言う事聞かなくてですね、
それで、最終的には攻められて絶体絶命ってなるんですが、
奇跡的に帰ってきた子に助けられるというですね、、」
テーブルに散らかった空き缶やらを片付けながら、
テレビを聞き流す。
俺は、向き合わなかったからな、、
この人みたいにもう少し頑張ったら、、
親父と仲良く出来たのかな、、
そんなこんなでテレビは終わり、
リモコンを手から取り、電源を消す。
風呂でも入るか、、
浴室に着くと今からお湯を溜めるのも煩わしくなり、
シャワーという簡易的なモノを選択する。
温かい水は俺の過去を洗い流す。
「はぁ。」
俺は何がしてんだろうな、、
モヤモヤとした感情は蒸気の様に辺りを包む。
腹へったな。
風呂上がりに冷蔵庫を開ける。
「酒ばっかりだな、、
じいちゃんもう少しぐらい、
身体の事考えろよ、」
そう言いながらもビールを手に取る。
プシュッ、
冷えた缶は唇へと当たると、
狭い空間を通り抜け、
炭酸の様な何とも言えない刺激を与え、
空腹の腹へと流し込まれる。
「くうぅ、、」
あの詰まる様な感覚は一生やめられない。
「何か、、ねえかな、、」
棚に手をかけ開けると、
マシュマロと、魚の缶詰が。
「じいちゃん明日買って来るから、
わり。」
一応そう、断ってから頂く。
玄関に鍵を見付け、施錠する。
遠くでオイルランプの光が、
何とも寂しそうに光る。
待ってろ。今行くから。
「マシュマロ焼くか」
割り箸にマシュマロを付けて、
再度火を付け、ゆっくりと溶かす。
ゆらゆらと揺れる火は木を弾きながら勢いを増す。
「マシュマロ焼くなんて初めてじゃないか?」
ゆっくりと形状を変えながら、
マシュマロは甘い香りを放つ。
ココアでも作るか。
再度ポットを沸かすと、異変に気付く。
「俺のマシュマロ、、、」
目の前では見知らぬ少女がマシュマロを食っている。
「今日はとことん食われるな。」
外見は小学生の様な見た目をしている。
背が低く、まるで、誘拐された子供の様に、、
いや、、まさか、、俺??!
いやいやいや、、流石に子供はねぇ、、
溶けたマシュマロは美味しそうに伸び、
見知らぬ少女の口へと消えて行った。
はぁ、、
ここはバイキングじゃねんだけどな。
お湯が沸き出した頃に、少女は居なくなっていた。
「食い逃げか、、」
ココアのジップを開け、中のスプーンで粉を救う。
粉末が空気中に散り、甘い香りを放つ。
規定では3杯入れる仕様だが、
濃いめのが美味しいので、
山盛りの3杯を入れる。
牛乳があれば最高なんだけどなあ、、
ポットに手をかけた時、横には少女が居た。
戻ってきたのね、、
お湯を注ぐと、粉が浮き、少しずつ沈んでゆく。
じーっと見ている少女に尋ねる。
「ココア。飲むか?」
しばしの沈黙が訪れ少女は頭を縦に振った。
もうひとつコップあったかな、、
リュックを漁ると案の定あった。
準備良過ぎだな。
少女の分を作ろうとしたら、
少女は既に俺用のココアを飲んでいた。
マシュマロといい、ココアといい。
甘い物が好きなんだな、、
俺は再度マシュマロを装着し、
火の元へと差し出す。
そうして、マシュマロは新たな高味へと変わる。
出でよ!ココアINマシュマロ!!
美味しそうなソレを、
当たり前の様に手にマシュマロを持ちながら
少女は俺へと近寄る。
「どうぞ、」
少女は嬉しそうに受け取り、ゆっくりと飲む。
俺も子供が居たらこんなんだったのかな、、
親ってどんなもんなんだろうな、、
ぼーっと少女を眺める。
少女が食べれる様に火元にマシュマロを用意する。
親が子供を甘やかす理由が少し分かった気がした。
揺れ行く灯りの中で、視界はゆっくりとぼやける。
夢の中で少女が近寄ってきた。
「ありがとう。」
ニコニコする表情に愛着が湧く。
俺「これ、、
持っていきな。」
差し出す手には魚の缶詰が。
少女は受け取ると大事そうにそれを抱え、
男の様に姿を消した。
ソロ○○ 影神 @kagegami
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ソロ○○の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます