第163話 瞬光発動
グレムリンはかなりのスピードを誇る。
スピード勝負になるかもしれないが、逆にいい実戦テストとなる。
俺はスキルを発動する。
『瞬光』
それほど猶予はない。
俺はモンスターに向けて全力で駆ける。
やはり、自分の感覚ではいつもと変わらないが流れる景色の感じが違うので『瞬光』が発動しているのがわかる。
すぐに距離がつまり俺は至近距離からミルメコレオに向けてスキルを発動する。
『ボルテックファイア』
『瞬光』を使って接近したおかげでモンスターに気が付かれることなくここまで近づくことができた。
炎雷を至近距離からミルメコレオの頭部へと放ち消滅へと追いやる。
『ボルテックファイア』が発動してくれるか心配だったが、どうやら『瞬光』使用中でも他のスキルを併用することは可能なようだ。
突然の炎雷に残りのモンスターが一斉に反応を見せるが、俺は止まることなくもう一体のミルメコレオの下へと走る。こちらを向いているので俺のことは認識しているようだが、ミルメコレオの動作が緩慢に感じる。
ミルメコレオが口を開けブレスの態勢に入ったのが見えるので、走りながら素早くスキルを発動する。
『アイスブラスト』
ミルメコレオが溶解液をはく前に冷気が集まりミルメコレオの頭が弾けた。
「よし!」
俺はそのままグレムリンへと標的を変える。
弦之助さんは『瞬光』しか使えなかったようなのでたしかにそうだったのだろう。『瞬光』は周囲に対して身体的なスピードや反応速度、神経伝達が飛躍的に向上するスキルだと言っていたが実際に使ってみてわかった。
これは肉体的なスピードが向上するだけのスキルじゃない。
このスキルは周囲に対して全てのスピードが向上するスキルだ。
『アイスブラスト』を発動してみたが、先に攻撃動作に入っていたミルメコレオが溶解液をはく前に発動した。
これの意味するところは、スキルの発動スピードも上がっているということだ。
敵よりも後でモーションにはいって先に当てる。
本来不可能なことがこのスキルで可能になっている。
そして実際に敵を相手にしたからこそわかる。このスキルの真価が発揮されるのは、敵よりも、速く先に動き、先に攻撃することにある。
つまりは瞬殺。相手になにもさせずに勝つ。
俺の劣化したスキルの効果ではどこまで可能かわからないが、弦之助さんが瞬神と呼ばれていたのも今なら納得だ。
残る敵はグレムリン三体。
当然俺の存在に気がついたグレムリンは既に動き出している。
二体は俺に向かってきているのが確認できた。
グレムリンは『瞬光』を使った今の状態でもかなり速い。
だが、完全に俺が認識できる範疇にいる。
挟まれないように気をつけながら、グレムリンの一体を射程に入れてスキルを放つ。
「あたれ! 『ボルテックファイア』」
俺に放った炎雷がグレムリンに命中し消滅させる。
俺はグレムリンの消滅を見届けると同時に駆け、残る一体のグレムリンとの距離を保つ。
この感じ、グレムリンと五十メートル競走をすれば負けるかもしれない。
ただ、俺の上がったスピードは脚だけではない。
思考を加速させ、グレムリンの動きを予測しスキルを放つ。
「これで終わる。『アイスブラスト』」
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