第156話 可能性

「『フェイカー』か。初めて聞くスキルだけど、そんな規格外のスキルが存在するとはね。限界がどこなのかはわからないがレベル12でクインタプルということを考えても……」

「そうね。私が想像していた以上だったわ。凛くんあなたAランカー、いえもしかしたらSランカーになれる素質があるんじゃないかしら」

「Sランク!? 俺がですか? 冗談はやめてください。今までずっとGランクだったんですよ」


一体この人たちはなにを言い出すんだ? 冗談を言っているようには見えないが、モナコジョークなのか?


「パパ、ママ凛くんはすごいでしょ?」

「ああ、とんでもないな。サバイバーの概念を覆すようなスキルだよ。『フェイカー』なんてスキルが存在するとはね。レベル12で5つのスキルを使えるってことはレベルが上がれば、いずれ世界最高の7つをも超える可能性もある」

「弦之助さん、聞いてましたか? 俺の使えるスキルはあくまでも劣化版ですよ」

「それは、強力なスキルを模倣すれば補うことも可能だろう。それにエラーの件だが、もしかしてそれはエラーじゃないんじゃないかな」

「パパ、どういうこと?」

「エラーで威力が増したり、違うスキルが使えるようになったなんて聞いたこともない。それなら必然的にそうなったと考える方が納得がいく。凛くんのそれはスキルの特性が合わさったんじゃないか?」

「特性が合わさった?」

「断定はできないが『アイスジャベリン』と『エクスプロージョン』の特性が合わさって『アイスブラスト』というスキルになったんじゃないかな。二つのスキルがひとつになった感じ?」

「パパ、そんなことあるの?」

「僕は聞いたことないけどね。でもそう考えるのが一番じゃないか? 一回スキルを換装してみればわかるんじゃない?」

「弦之助さん、さすがにそれは……」

「はは、ひとつの案だよ案」


確かに『アイスブラスト』と二つのスキルが全く関係ないかと言われれば、そうではない気がする。

聞くと弦之助さんの言っていることが正解に近い気もするが、さすがに『アイスブラスト』を使えなくなるリスクは避けたい。


「それはそうと二人はどこまでいってるんだい?」

「は……い?」

「いや〜葵は奥手だからね。今まで男の子の話も出てきたことがなかったから心配してたんだ。それが急にパートナーなんて言い出すし、どうしてもここに引っ越したいって聞かないからどんな相手か気になってたんだ。チャラチャラした変なやつならスキルでぶっ飛ばしてやろうかと思ってたんだ」


な……

Aランカーにスキルを使用されて殴られたら、冗談に抜きで死ぬ。俺は大丈夫なんだよな。

それにどこまでいってるってどういう意味だ?


「パパ! 変なこと言わないで!」


あとがき

モブから始まる探索英雄譚のコミカライズ1話が、ニコニコ静画で公開されました。無料登録で読むことができるので是非読んでみてください。

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