第98話 2回目の一夜漬け
遂に学年末テストを迎えてしまった。
既に葵からみっちりとレクチャーを受け、昨日もほぼ徹夜だ。
「凛くん、今日は頑張りましょうね♪」
前回も感じた事だが、葵は俺に付き合って同じだけの時間を勉強しているはずなのにいつもと変わらず笑顔で元気だ。
もしかしたら葵は俺と身体の作りが違うのかもしれない。
葵と別れて教室の席につく。
いつもと違い、ほとんどの生徒が教科書と睨めっこをしている。
最近毎日挨拶をしていた本田も今日は挨拶して来ずに勉強をしている。
そういえば、本田って勉強はどうなんだろう。
「みんなそんなに頑張らなくても大丈夫じゃない? やっぱり学年末テストって今までの積み重ねだろ〜。今更ちょっと頑張っても変わんないって。落ち着いていこうぜ!」
「え〜新城くん余裕〜」
「余裕ってほどじゃないけど、それなりにはね〜。まあ、どんなに悪くても学年三十位はいけるでしょ」
「さすが新城くん!」
一人場違いな感じで喋ってる奴がいるが、新城も三十位以内か。あの感じだと三十位は間違いなく取れる自信があるのだろう。
俺の目標が三十位以内と誰かに言ったわけでもないし、新城と競うつもりも無いが、あの新城が自分と同じ位置を目指しているのを聞くとちっぽけな俺のプライドが微かに熱を持つ。
新城には負けたくないな……
新城の言葉、今更足掻いても意味が無い。確かにそれも正しいかもしれないが、俺はギリギリまで足掻いてやる。
徹夜で詰め込んだ知識を再度確認していくが、前回のテストの時よりも格段に精度が上がっている。
日々の積み重ねと、葵との一夜漬けも二度目なので要領を掴んできたのもあると思う。
朝の朝礼が終わり早速テストが始まった。
問題を解いていくがやはり前回より解ける。これなら……
俺は更に集中力を高めてテスト問題を解いていく。
あっという間に四時間目が終了して今日のテストは終了した。
「凛くん帰りましょう」
「ああ、帰ろうか」
「凛くんテストはいかがでしたか?」
「うん、今回は結構いけてると思う。かなりいい感じで解けたと思う」
「それはよかったです。後二日がんばりましょう」
「うん、がんばろう」
後二日……
とにかく頑張るしかない。
さすがに二日連続で徹夜は無理なので、帰ってすぐに2時間ちょっとの昼寝をしてから2日目のほぼ徹夜に臨む。
「凛くん、よかったらコーヒーか紅茶を淹れましょうか?」
「じゃあ紅茶をお願い」
葵が声をかけてくれたので、カフェインに頑張ってもらい俺の身体を目覚めさせる事にする。
「二時か……後五時間だな」
前回は死にそうだったが、今回は前回の経験から覚悟を決めていたせいか、まだいけそうだ。
「お待たせしました。紅茶とチョコレートです。糖分を取ると、能率も上がるそうですよ」
「ありがとう」
普段はチョコレートとか食べる事はほとんどないが、今は葵の心遣いがありがたい。
こうして俺は勝負の二日目の朝を迎えた。
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