第88話 お礼
「こちらは強化セラミック刀になります。軽くて強度も十分にありますしサバイバルナイフの倍程の長さがあるので、白兵戦ではかなり有利になるかとお思いますが、お値段が八万五千円となります。サバイバー用の特注品になりますのでナイフに比べると高額にはなりますがいかがでしょうか?」
「ちょっと持ってみてもいいですか?」
「はい、手に取っていただいて大丈夫です」
強化セラミックの剣を手に取って見るが、明らかにサバイバルナイフよりは長く、いわゆるショートソードの部類に入るサイズ感だろう。
極至近距離まで近づく必要のあったナイフに比べると、ある程度の距離感で斬るという事が出来そうな感じだ。
重さもナイフに比べるとかなり重いが、まあ許容範囲な気がする。
「最後にこちらはスタンバトンになります。しとめる事よりも足止めを目的に使う事が多いのですが、適当に触れてもこのスイッチで二十万ボルトの電流が流れます。素材も強化していますので殴ればそれなりのダメージを与える事も可能です。お値段もこの中では一番安価で六万円となっております」
三つ目の武器を手に取ってみると先程の剣よりはかなり軽い。長さも剣よりも少し短い程度でそれなりに距離をとって戦う事も可能な気がする。
三つともそれぞれ用途が異なるが、どれも今使っているサバイバルナイフよりは戦闘に向いている気がする。
「じゃあさっきの五十万円のアーマードインナーとこの三つをください」
「蓮くん!? 全部買うんですか?」
「うん、どれも必要だと思うから」
「ですが、これ全部は使いこなせないのでは……」
「大丈夫。ちゃんと考えてるから」
「それではこの三点のホルダーも買われた方がいいかと思います。三点お買い上げいただきましたのでサービスさせていただきまして二万五千円でいかがでしょうか」
「じゃあそれでお願いします」
合計四点の装備と武器のホルダーを買う事にしてレジで会計をしてもらう。
「それでは四点で七十九万円になります」
「それじゃあこれでお願いします」
七十九万円か……
もちろん俺の買物史上最高額をダントツで更新してしまったが、お正月にかなり稼いだので自分への投資だと思って支払いを済ませる。
「葵、今日は買い物に付き合ってくれて助かったよ。ありがとう。それじゃあこれは葵が使ってね」
俺はそう言って購入したばかりのスタンバトンを葵に渡す。
「え? 私にですか?」
「前にも近接用の武器を持った方がいいって言ったでしょ。ナイフは持ってもらってるけどやっぱりあれは女の子には難易度が高いと思うから。これなら射程は伸びるし重さも大丈夫だと思うから」
「…………ありがとうございます。大事に使いますね」
葵がこちらをじっと見つめながらお礼を言ってくれるが、そんなに真剣にお礼を言われると照れてしまう。
そもそも葵にはこんな武器一つでは返す事が出来ない程の恩がある。
この武器一つで葵のリスクが少しでも減れば安い物だ。
俺もこれだけの装備を整えたのだから、装備に負けないようにEランカーとしてもっと活躍できるように頑張っていこうと思う。
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