第87話 装備購入

「この三種類はそれぞれ五十万円、九十五万円、百三十九万円となっております。値段の順に耐久力が上がっていきます。もっと上の物もありますが、ベーシックな物はこのあたりになります」


ベーシックでこの値段か。やはりアーマードインナーは高い。ただ前回一度見ているので当然一番下の物の値段は把握している。それよりも高い物が二つあるがさすがに百三十九万円は払えない。


「五十万円の物と九十五万円の物はどのぐらい違いますか?」

「この二つは基本同じ素材が使用されています。ただ使われている素材の量、厚さが二.五倍になりますので耐久力が大きく異なります」

「そうなんですね」

「やはり、サバイバーの方は常に危険と隣り合わせですので万全の体制を整える事は必須です。何よりも防御力は重要です。もし悩まれているのであれば絶対に九十五万円のアーマードインナーをお勧めします。

「そういうものですか」

「店員さん、少し相談させてください。凛くんちょっといいですか?」


葵が俺の手を引いてその場から一旦その場を離れる。


「どうかした?」

「凛くん、初めてのアーマードインナーですよね。それであればまずは五十万円の物でいいんじゃないでしょうか? 凛くんはプロテクターも付けていますし五十万円のアーマードインナーと組み合わせるだけでもほぼ致命傷を防げるようになると思います。無理して高い物を買うよりはトータルバランスを考えた方がいいです」

「そうだね。葵の言う通りだ。無理しても仕方が無いな。ちょっと焦ってやってしまう所だった。ありがとう」

「いえ、お節介を焼いてしまいました」


九十五万円のアーマードインナーも買えない事は無いが、想定していた五十万円に比べると明らかに予算オーバーだ。

焦りから冷静な判断ができなくなっていたのかもしれない。葵のアドバイスは本当に助かった。


「すいません、やっぱりこの五十万円のにします。それと武器も見たいんですけどいいですか?」

「もちろんです。どういったタイプの武器がご希望でしょうか?」

「今サバイバルナイフを使ってるんですけど白兵戦に自信が無いので代わりに何かないですか?」

「少々お待ちください」


店員さんが再び奥から武器らしき物を持って来てくれた。

こちらも全部で三種類だ。


「まず、白兵戦を避けるという選択肢を考えるとこちらはおすすめです」

「クロスボウですか?」

「はい、こちらは小型のものになりますので取り回しもしやすいですし威力もそれなりに期待できます。低級なモンスターであれば、これだけでも十分倒す事が可能です。お値段は十二万円となっております」


確かに俺がイメージしているクロスボウよりは随分と小さい。それに十二万円と聞くとアーマードインナーに比べてかなり安く感じる。

スキルだと『アイスジャベリン』に近い使い方になるとは思うが、これであればスキルレジストを使ってくるインプにも普通に効果がありそうだ。

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